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日常診療で注意すべき先天性の毛髪異常と鑑別方法【非症候性と症候性があり遺伝形式の違いや毛髪外皮膚・多臓器症状の有無で鑑別】

No.4880 (2017年11月04日発行) P.58

藤本 学  (筑波大学医学医療系皮膚科教授)

下村 裕 (山口大学大学院医学系研究科皮膚科教授)

登録日: 2017-11-05

最終更新日: 2017-10-31

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  • 日常診療で注意すべき先天性の毛髪異常とその鑑別方法についてご教示下さい。山口大学・下村 裕先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    藤本 学 筑波大学医学医療系皮膚科教授



    【回答】

    先天性の毛髪異常症(先天性毛髪疾患)は,毛髪症状のみを呈する「非症候性」の群と,毛髪症状が症候群の1症状として認められる「症候性」の群に大別されます。以下に,日常診療で遭遇する可能性が高いと思われる先天性毛髪疾患を紹介します。

    (1)非症候性

    常染色体劣性遺伝性の縮毛症の患者は,日本人にきわめて多く存在することが知られています。縮毛症の患者の頭髪は,過度に縮れていることが最大の特徴です。幼児期には巻き毛(いわゆる「くせ毛」)と区別しにくいこともありますが,縮毛症では,頭髪の成長が数cmで止まってしまうことや高頻度で乏毛症も呈すること,巻き毛に比べて頭髪がざらざらとした触感であることなどから鑑別できます。日本人の本疾患の患者のほとんどは,lipase H(LIPH)遺伝子の創始者変異で発症することが判明しています。

    また,縮毛症に類似した毛髪症状を呈する疾患としてMarie-Unna型遺伝性乏毛症(Marie Unna hereditary hypotrichosis:MUHH)が挙げられます。MUHHの患者の頭髪も強く縮れていますが,縮毛症と異なり頭頂部の頭髪が頭皮に垂直方向に立っていることや,遺伝形式の違い(MUHHは常染色体優性)などから鑑別可能です。

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