文部科学省の「学校における医療的ケアの実施に関する検討会議」は10日に初会合を開き、医療的ケア児(用語解説)の受け入れやその対応について議論を始めた。
「医療的ケア」は一般的に学校や在宅等で日常的に行う、たんの吸引や経管栄養、気管切開部の衛生管理などの医行為を指す。学校における医療的ケアについては、2012年からたんの吸引など5つの特定行為に限り、一定の研修を修了した教員等によるケアが認められ、実施されてきた。昨年の児童福祉法改正では医療的ケア児が法律上はじめて定義づけられ、一層の支援が求められている。文科省は制度開始から5年が経ち、人工呼吸器の管理をはじめとした高度な医療的ケアへの対応や訪問看護師の活用など、新たな課題が出てきたことを踏まえ、同会議では医療的ケアの安全で適切な実施に向け検討するとしている。
文科省は同会議の検討事項として、①責任体制のあり方、②人工呼吸器の管理など、特定行為以外の医行為を実施する際の留意事項、③実施できる医療的ケアの範囲、④校外学習・宿泊学習など学校施設以外の場での基本的な考え方の整理、⑤看護師が学校で医療的ケアに対応するための研修機会の充実―を列挙。②の人工呼吸器の管理などについては、学校看護師が配置されているにもかかわらず保護者の付添いを求めている事例が問題となっている。文科省は、特定行為以外の医行為に関する標準的手順の整理や、校内・校外での連携体制整備のポイント、緊急時対応のポイントなどを検討し、保護者の付添いなしで学校が受け入れられる体制の構築を目指す。
検討会議は来年度末にも最終報告書をとりまとめ、通知を見直す方針。