患者が頭痛外来を受診する目的は,原因究明,治療,不安の解消である
「国際頭痛分類 第3版beta版」と「慢性頭痛の診療ガイドライン2013」を使いこなして診断,治療を行い,十分な説明と指導で患者の不安を解消する
頭痛診療には,細やかな問診と,「頭痛ダイアリー」や「頭痛Click®」への記録が必須である
わが国の慢性頭痛患者は3000万人以上と推計される。頭痛はプライマリケアにおいて最も多い愁訴のひとつである。
ありふれた症状にもかかわらず,その診断と治療において,実際の診療と患者のニーズには乖離がある。
本稿では,この乖離を埋めるべく,今どきの頭痛外来で実際に行っている診療について述べる。
頭痛外来を受診する患者の目的は,「なぜ繰り返し頭痛が起きるのか原因を知りたい(原因)」「治したい(治療)」「器質的異常がないか心配(不安)」の3つに集約される(図1)。
しかしながら「前医の治療や診療に不満を抱いた」という理由で受診する者も少なくない。医療者は二次性頭痛の原因となる器質的異常を除外することに重点を置き,画像検査で異常がなければ「心配なし」と判断し,適当な薬を処方するのみであり,それに対し頭痛患者は「満足のいく治療や指導を受けられなかった」と失望しているのである1)。そのため,その後の受診をあきらめることも少なくない。
どこを受診したらよいかわからず,市販鎮痛薬の乱用に至る者や,ドクターショッピングを繰り返す者もいる。患者満足度を高める診療のためには,頭痛の「診断」を行い,適切な「治療」をすることがポイントとなる。繰り返し生じる一次性頭痛では,頭痛予防のための「生活指導」も欠かせない。もちろん,器質的疾患による二次性頭痛を見逃さないことは大前提である。
わが国における一次性頭痛は,緊張型頭痛(22.4%),片頭痛(8.4%)の順に多い2)。片頭痛は重症度が高く,日常生活に支障をきたしやすい。頭痛外来においては,片頭痛が最も受診率が高い一次性頭痛であり,半数を占める(図2)。中には「10年近く片頭痛の診断を受けられなかった」という患者もいる。
片頭痛を見きわめ,適切な治療を行うことは,患者満足度向上のための第一歩であると言える。
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