食物アレルギーには様々な臨床型が存在し,各々に対して適切な診断と対応が求められている
臨床型に応じて,年齢層・原因抗原・診断方法などが異なるので,正しい知識と理解が必要である
診断に難渋する場合は,早めに専門施設へ紹介することが重要である
食物アレルギーは乳児期・幼児期から成人期まで様々な臨床型があり,発症年齢,主要抗原やメカニズムに違いがある。近年,食物アレルギーは増加傾向にある。原因となる食物抗原も多様で,小児期における発症が多い1)。現在,臨床型分類としては新生児・乳児消化管アレルギー,食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎,即時型症状(蕁麻疹,アナフィラキシーなど),特殊型(食物依存性運動誘発アナフィラキシー,口腔アレルギー症候群)が存在する(表1)2)。本稿では,臨床型分類に関して「厚生労働科学研究班による食物アレルギーの診療の手引き2014」2)を基軸に解説する。
新生児・乳児消化管アレルギーは,主に非IgE依存性(抗原特異的T細胞を主とした好酸球性炎症)の機序を介して,原因食物により消化器症状を引き起こす疾患である。牛乳(乳児用調製粉乳)が主な原因であり,大豆や米も原因となることがある。新生児期や乳児早期の哺乳開始後に活気不良,嘔吐,下痢や血便を呈する。稀に体重増加不良を呈することもある。1歳頃までに約70%,3歳までに90%以上が寛解する。
診断として,血液検査(食物抗原特異的IgE抗体や牛乳特異的リンパ球刺激試験)や便検査(細胞診,便培養や寄生虫卵検査)で感染症を含めた鑑別を行い,除去・負荷試験を行うことで最終的に診断する。牛乳抗原特異的IgEは検出されず,牛乳特異的リンパ球刺激試験が陽性になることが多い。CRP陽性例もあり,感染症の可能性も考慮し便培養・寄生虫卵検査を行い,細胞診では好酸球の有無を確認する。一時的な除去で症状の変化を観察し,1~2週間後に症状が安定した段階で再度食物負荷し消化器症状の有無を確認する。約70%は負荷後24時間に症状を呈することが多い。
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