多くの企業では,法定外勤務時間を「PCのログオンとログオフの時間─法定労働時間─1時間(休憩時間)」で計算しています。始業時刻と終業時刻は,ログオンとログオフの時刻に一致しています。しかし,一部の企業では勤務時間内であっても,1時間くらいは新聞を読んだりして,会社の指揮命令系統から外れているとして,上記の勤務時間から1時間引いたものを法定外勤務時間としているとのことです。
実際にはPCのログオンとログオフの間の時間は,通常の仕事をしており,会社の指揮命令系統から外れていません。万が一,過労死・過労自殺が起きた場合,会社の勤務時間は非常に大きな争点になります。上記の一部企業での法定外勤務時間の算出方法は違法ではないでしょうか。
(東京都 K)
労働基準法第32条は,1週40時間・1日8時間の法定労働時間を定めており,これを超える時間外労働をさせた場合には,使用者は25%増の割増賃金を支払わなければなりません(同法第37条)。そのため労働者が何時から何時まで仕事をしたか,使用者には「労働時間を適正に把握する責務」があり,使用者自らが現認したり,タイムカード・ICカードなどの客観的な記録を基礎として,確認・記録することが原則です(厚生労働省通達)。
また,長時間労働等に起因して,脳・心臓疾患や精神障害を発症することがあり,そうした疾病が労働災害に当たるかが問題となります(労災保険法第7条第1項第1号)。その際,厚生労働省の通達(認定基準)に基づき,1週間当たり40時間を超えて労働した時間数(時間外労働時間数)を目安として,労働災害の認定が行われます。
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