皮膚科には「デルマドローム」(dermadrome)という用語がある。皮膚の症状から予想外の全身疾患がみつかるという疾患群である。たとえば,口腔アフタや結節性紅斑は感染症,炎症性腸疾患など種々の全身疾患を反映している。デルマドロームのうち,悪性腫瘍などの致死的疾患を発見できる皮膚症状にはかなりのインパクトがある。また,漢方では舌診として重んじられているように口腔粘膜も内科的疾患の発見の契機となることがあり,「オラ・ドローム」(Oradrome=Oral medicine+syndrome)と言われる。これらの用語には「こんな症状が……」「先生すごい!」という驚きや尊敬,そして意外性が重要なニュアンスとして含まれている。
1 皮膚転移群,がん皮膚転移
松田秀則 安齋眞一
2 腫瘍随伴皮膚病変 ①Sweet病
中村晃一郎
②グルカゴノーマ症候群/壊死性遊走性紅斑
山本紀美子 鶴田大輔
③Bazex症候群
片桐一元 小林圭介
⑤腫瘍随伴性天疱瘡/粘膜類天疱瘡
石井文人
⑥悪性腫瘍合併皮膚筋炎
高橋一夫
⑦葡行性迂回状紅斑
須山孝雪
3 悪性腫瘍─先天異常症候群 Muir-Torre症候群(MTS)
井上多恵
Ⅱ オラ・ドローム─口腔粘膜でわかる内科疾患
神部芳則 岡田成生
Ⅲ 糖尿病/代謝性疾患に伴う皮膚病変─後天性反応性穿孔性膠原線維症(ARPC)
寺木祐一
1 IgA血管炎
青木奈津子 佐野栄紀
2 良性対称性脂肪腫症
梅林芳弘
Ⅴ 腎臓病の皮膚病変─腎性全身性線維症
茂木精一郎
Ⅵ 膠原病の皮膚病変(皮膚筋炎以外)─全身性エリテマトーデス(SLE)
山口由衣
Ⅹ 栄養障害と皮膚粘膜病変
中村哲史