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中小病院における抗菌薬適正使用上の注意点は?【感染対策チームなどを組織して使用量の算出や院内の細菌検出状況の把握などを行う】

No.4892 (2018年01月27日発行) P.56

継田雅美 (新潟薬科大学薬学部薬学科教授)

登録日: 2018-01-24

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  • 地域の中小病院(感染症専門医不在)において,抗菌薬を適正使用するにはどのような点に注意したらよいでしょうか。

    (長野県 F)



    【回答】

    施設内での感染対策のリーダーというお立場でのご質問と解釈します。中小病院では感染対策に関わる専門知識を持った医療従事者は不足しています。また,医師数が少ないため,1人の医師の抗菌薬の使い方が全体の抗菌薬使用量に影響します。そのような中での抗菌薬適正使用の推進には,「個々の症例」と「施設全体」に対する2つの視点から取り組むことが必要です。そのために,感染対策チーム(infection control team:ICT)や抗菌薬適正使用チーム(antimicrobial stewardship team:AST)といったチームを組織して対応されるとよいと思います。

    まずは自施設の問題点が何かを探ることです。培養をとっているか,使用抗菌薬の種類に隔たりはないか,長期投与になっていないか,緑膿菌の抗菌薬感受性はどうかなど,施設により問題点は様々です。抗菌薬を処方するのは医師なので,耐性菌を発生させないため協力してもらえるよう,あくまでも診療の補助というスタンスで医師にも根気よく説明を重ねることが重要と思います。
    以下に抗菌薬適正使用のための具体例を挙げます。

    (1)抗菌薬使用量の算出

    今まで抗菌薬使用量を評価してこなかった施設では,使用量の算出をするだけでも抗菌薬使用量に影響を与えられます。中小病院であっても抗菌薬の使用量はレセプトデータから取り出せるので,系統別に使用割合を出し,可能であれば耐性菌の検出状況と併せて施設内に示します。現在,抗菌薬使用動向調査システム(JACS)が構築されていますので,それに参加すれば他施設との比較も可能となります。

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