骨格筋量が減少する病態である「サルコペニア」が注目されている。世界保健機関(WHO)は、2016年にサルコペニアを正式な病名と認め、国際的には治療が必要な疾患に位置付けられている。しかし、日本ではこれまで指針もなく、診療現場での対応が難しかった。日本サルコペニア・フレイル学会と国立長寿医療研究センターが、この状況を改善するため、昨年12月に世界初の『サルコペニア診療ガイドライン』を発刊した。
同ガイドラインでは、サルコペニアを「高齢期にみられる骨格筋量の減少と筋力もしくは身体機能(歩行速度など)の低下」した状態と定義している。国際的には、ヨーロッパのワーキンググループによるEWGSOPなど複数の診断基準が出ているが、日本人に対するサルコペニアの診断にあたっては、アジアサルコペニアワーキンググループ(AWGS)による診断基準(図)の使用を推奨している。
加齢以外に原因が明らかでない場合は「一次性サルコペニア」、1つ以上の原因が明らかな場合には「二次性サルコペニア」に分類される(表)。AWGSの診断基準はどちらにも使えるが、一次性は65歳以上が対象で、二次性については年齢制限を設けていない。場合によっては、65歳未満の人も「二次性サルコペニア」と診断される。