器質的心疾患による失神の発症は突然死の危険因子となるため,早急に原因疾患を診断し,治療することが必要である
失神の原因疾患の解明には,初診時の詳細な病歴聴取を含め,適切な初期評価を行うことが重要である
各疾患の鑑別に有用な検査を適切に行うことにより,診断が可能となり,早期治療につながる
失神の原因疾患としては,非心原性の頻度が高く,反射性(神経調節性)失神や起立性低血圧を示す例が多く認められる。一方,心原性失神の頻度は低く,10%程度とされており,特に日常診療において器質的心疾患や心肺疾患による失神例に遭遇する頻度は低いと考えられる。しかし,これらの疾患における失神の発症は突然死の危険因子となるため,早急に原因疾患を診断し,治療することが必要である。
表1に示すごとく,失神の原因となる器質的心疾患や心肺疾患には,①閉塞性心弁膜疾患,②急性心筋梗塞(虚血),冠攣縮性狭心症,③肥大型心筋症,④心房粘液腫,⑤急性大動脈解離,⑥心膜疾患,心タンポナーデ,⑦肺塞栓,肺高血圧などが挙げられる1)~4)。本稿では,特に日常臨床で遭遇する失神をきたす器質的心疾患の特徴と対応について,診断的アプローチを含めて解説する。
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