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淋菌に対する各種抗菌薬感受性の変化・現況【セフトリアキソン,スペクチノマイシンは有効だが,ほとんどの使用薬剤に耐性を獲得】

No.4895 (2018年02月17日発行) P.53

重原一慶 (金沢大学附属病院泌尿器科講師)

安田 満 (岐阜大学医学部泌尿器科講師)

登録日: 2018-02-16

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  • 現在の淋菌性尿道炎の治療としては,セフトリアキソンが主に使用されていますが,2009年にわが国で初めてセフトリアキソン耐性淋菌が分離され,世界的な問題となりました。そこで,淋菌に対する各種抗菌薬感受性の変化・現況について,岐阜大学・安田 満先生のご教示をお願いします。

    【質問者】

    重原一慶 金沢大学附属病院泌尿器科講師


    【回答】

    淋菌感染症の多くは性感染症です。代表疾患は男性尿道炎や子宮頸管炎ですが,淋菌性結膜炎,骨盤内炎症性疾患や播種性淋菌感染症といった深刻かつ重篤な疾患も含まれており,淋菌の薬剤耐性化が進めばこのような疾患の治療が困難となることが予想されます。

    海外では大規模な淋菌の薬剤感受性サーベイランスが行われています。わが国においては公的機関によるサーベイランスは行われておらず,各地域での小規模なサーベイランスにとどまります。筆者らも2000年より独自に淋菌薬剤感受性サーベイランスを行っています。

    現在,ほとんどの淋菌がペニシリンに対して非感受性(低感受性+耐性)ですが,ペニシリナーゼ産生淋菌(penicillinase-producing Neisseria gonorrhoeae:PPNG)は稀です。テトラサイクリン非感受性は7割程度です。フルオロキノロン耐性は1990年代より報告されています。筆者らのサーベイランスでも2000年には非感受性株が5割程度でしたが,2001年には7~8割程度まで増加し,その後も減少していません。アジスロマイシン徐放製剤は海外では淋菌の適応を取得しておらず,ブレイクポイントが定められていません。筆者らが検討したところMIC=0.5mg/Lで治療失敗例が出現することより,この値以上が非感受性となります。その結果,非感受性株は約3~4割となります。経口セファロスポリン系抗菌薬であるセフィキシム非感受性株は10~20%程度です。尿道炎においては95%以上の有効率が求められており,これでは不十分です。

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