厚生労働省は19日の社会保障審議会医療保険部会で、医療保険制度の見直しに向けた保険料や自己負担を巡る「主な論点」として、「地域別診療報酬の設定」「医療費動向等に応じた給付率調整」などを提示した。
地域別診療報酬は、高齢者医療確保法において、都道府県が医療費適正化計画の目標達成を図るために実施できる「特例」として定められており、財務省が積極的な活用の検討を主張している。給付率調整は、医療費が伸びて保険料の引上げが必要な場合に、一定の算式に基づき自己負担も引き上げるという考え方で、これも財務省が導入を提言している。
地域別診療報酬の設定については、遠藤秀樹委員(日本歯科医師会)が「『1点=10円』という制度の前提を地域ごとに変えることには慎重な検討が必要」と述べたのをはじめ、複数委員から慎重論が相次いだ。この問題に関して日本医師会の松原謙二委員は発言しなかったが、横倉義武会長は11日の会見で既に反対を表明している。
一方、給付率調整を巡っては、佐野雅宏委員(健康保険組合連合会)が「詳細がまだよく見えない以上は慎重に考えるべき」としつつ、後期高齢者医療の自己負担割合の見直しなど応能負担の推進を主張した。
横尾俊彦委員(全国後期高齢者医療広域連合協議会)は、欧州の一部の国では同じ医療行為・医薬品でも所得に応じて自己負担割合が変わる仕組みがあるとした上で、「タブー視せずに様々な施策を検討することが必要ではないか」と提起。菅原琢磨委員(法政大)は、現行の自己負担の仕組みは高所得者も低所得者も同じ負担割合となるため「逆進性が強い」と指摘し、高額療養費制度と併せて今後の大きな論点となるとの考えを示した。