Aを選びます。前立腺特異抗原(PSA)検診は無作為化比較対照試験(RCT)でがん死低下効果が確定しました。一方で,検診受診で過剰診断・過剰治療の不利益を被るリスクがあるため,正しい情報提供が同時に重要ですが,利益は不利益を上回るとの研究結果が出ています。将来は,新規腫瘍マーカーの開発,低侵襲治療・監視療法の普及,オーダーメード検診の導入により,純利益はさらに大きくなると予測されます。
わが国の前立腺癌罹患者数は,2014年の予測では胃癌,肺癌に続いて男性がんの第3番目であったが,15年と16年は最も罹患数の多い男性がんになった。前立腺癌死亡者数は,2013年の1万1560人をピークに,14年は1万1507人と初めて減少に転じた。
米国ではprostate-specific antigen(PSA)検診が1980年代後半から普及しはじめ,前立腺癌死亡者数は92年以降減少が続いており,2012年の死亡率は1990年と比べ約50%も低下している。また,日本泌尿器科学会(The Japanese Urological Association:JUA)が行った全国調査では,2000年の転移がん比率は21.3%であったが,04年は11.6%に低下している。一方,米国ワシントンDC在住のアジア系米国人の転移がん比率は3.1%と非常に低い1)。