診療科: | 泌尿器科 | 泌尿器科 |
---|
シリーズ: | よくわかる病態生理 シリーズ |
---|
第1章 腎・尿路の構造,機能,画像診断
腎・尿路の構造
腎・尿路の画像診断
総腎機能・分腎機能検査法
第2章 腎・尿路腫瘍
血 尿
腎細胞癌
腎盂・尿管腫瘍
膀胱癌
第3章 尿路結石
尿路結石の疫学と成因
尿路結石の症候と診断
尿路結石の治療
尿路結石の予防
第4章 尿路性器感染症・性感染症
腎盂腎炎
膀胱炎
尿道炎
前立腺炎
精巣上体炎
第5章 排尿機能障害
排尿の生理
排尿機能検査
排尿障害(下部尿路機能障害)
尿失禁
神経因性膀胱
第6章 尿路閉塞性疾患
腎盂・腎杯・尿管の尿の輸送
尿路閉塞・狭窄の症状と病態
尿路閉塞・狭窄の一般的検査
尿路閉塞・狭窄の原因疾患と治療
第7章 前立腺疾患
前立腺の形態と機能
前立腺の画像診断
前立腺肥大症
前立腺癌
第8章 男性生殖器疾患
男性生殖器の構造と機能,発育の過程
陰茎の組織構造と勃起・射精の機序
勃起・射精障害
精巣の組織構造と精子形成の過程
精巣機能障害
男性不妊症
陰嚢内腫瘤,急性陰嚢症
精巣癌
第9章 尿路性器の先天異常
腎・尿路の発生
男性生殖器の発生
停留精巣
多発性嚢胞腎
膀胱尿管逆流症
腎盂尿管移行部狭窄症
尿道下裂,尿管開口異常
第10章 尿路性器の外傷
腎外傷
膀胱外傷
尿道損傷
陰茎損傷
精巣損傷
編集にあたって
共用試験と診療参加型臨床実習(クリニカルクラークシップ)の導入は、医学教育を大きく変えつつある。これらが真に定着すれば、卒後臨床研修の多くの部分が卒前に組み込まれ、その後の専門研修を含めて、医学教育の枠組み全体が微調整される可能性もある。
臨床実習前の医学教育も、課題解決型チュートリアル教育が広く行われるようになった。知識の記憶だけではなく、「なぜ」「どのように」という、病態生理の理解が求められている。
このような状況の中で、本書は「よくわかる病態生理」シリーズの「泌尿器疾患」として企画編集された。構成は従来の泌尿器科学のテキストと大きくは違わないが、コアカリキュラムの内容を重視し、また、それぞれの章で、発生機序、生理、病理など、いわゆる病態生理に力を入れて記述していただいた。
急性膀胱炎から精巣癌まで、さまざまな病気を含む泌尿器疾患において、すべての臨床医がその初期診療に携わる疾患、言い換えれば、すべての医師が一応の知識を持っていなければならない疾患は何であろうか。もちろん、膀胱癌も腎癌も精巣癌も重要疾患ではあるが、いったんそれらの疾患が疑われれば、あとは泌尿器専門医にお任せいただきたい。
これらの疾患に対し、尿路結石、急性膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染症、尿失禁を含む排尿障害、前立腺肥大症と前立腺癌は、頻度がきわめて高いこと、あるいは緊急の処置を要する場合があることから、すべての患者を泌尿器科医が診療するのは不可能であり、内科医、外科医などを含む一般臨床医が初期診療を担当しなければならない。血尿の鑑別診断を含めて、泌尿器科で最も重要な学習項目といえよう。
本書が、共用試験から臨床実習に向かう学生諸君の座右の書となることを願っている。最後に、分担執筆していただいた諸先生方に深謝する。
2008年9月
松田公志