受診2日前の午前1時に左頸部痛で目が覚めた。痛みは急速に悪化し,嚥下痛も伴うようになった。翌日かかりつけ医を受診し,ロキソプロフェンを処方されたが改善しないため,当科を紹介受診した。
身体診察では体温37.5℃,脈拍92回/分(整),血圧135/67mmHg。咽頭,頸部に視診,触診での異常なし。首は全方向(屈曲,伸展,回旋,側屈)で高度の可動域制限を認める。疼痛は他動運動よりも自動運動で強く,頸部屈曲(図1,正面を向いたまま頸部だけを前に出す動作)の等尺性負荷で最も強く誘発されるが,頭部屈曲(図2,顎を引く動作)での痛みの悪化はない。また頸部屈曲とほぼ同様の頭位であるsniffing position(下位頸椎を屈曲し,下顎を突き出した匂いをかぐ姿勢)でも増悪する。安静時痛は軽微である。
血液検査の異常値はCRP 4.8mg/dLのみ。頸椎X線写真を示す(図3)。