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意外と多い高齢者の睡眠時無呼吸【閉塞性,中枢性ともに加齢に伴い増加し,高齢者特有の非定型的な症状もある】

No.4908 (2018年05月19日発行) P.51

伊東範尚 (大阪大学老年・総合内科医学部講師)

登録日: 2018-05-17

最終更新日: 2018-05-15

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睡眠時無呼吸は低呼吸(いびき)や無呼吸を呈する睡眠関連呼吸障害のひとつである。繰り返す低酸素血症・高炭酸血症や交感神経系の亢進などを介して,高血圧や脳心血管疾患などの循環器疾患,脂質異常症や耐糖能異常などの代謝障害,日中の眠気などを呈する。

睡眠時無呼吸の多くは上気道の閉塞による閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)であり,「1時間当たりの無呼吸低呼吸の回数(AHI)が5以上」という定義では全人口の9~24%(日中の眠気を呈するものは2~4%)程度に認める。さらに,高齢者におけるOSAの有病率は30~80%(AHI>15以上の中等度のOSAは20%程度)になり,高齢になるほど重症度も高くなる1)2)。また,高齢者においては中枢性無呼吸(CSA)も増加する。

睡眠時無呼吸の高齢患者では認知機能の低下や抑うつ,疲労感,不眠,転倒,夜間頻尿などの非典型的な症状を認める場合も多い。高齢者でOSAの罹患者数が増加する要因としては,肥満による上気道の開存性低下(典型的なOSA)に加えて,オトガイ舌筋などの上気道拡張筋群の機能が低下し,上気道の開存性が低下する(年齢依存性のOSA)ことなどが挙げられる。高齢者が訴える症状(夜間頻尿や疲労感,抑うつなど)が睡眠時無呼吸によるものと考えられていないことも多く,無呼吸が疑われる場合には積極的に検査や治療を検討する必要がある。

【文献】

1) Russell T, et al:Am J Med. 2011;124(12): 1123-6.

2) Hongyo K, et al:Geriatr Gerontol Int. 2017;17 (4):614-21.

【解説】

伊東範尚 大阪大学老年・総合内科医学部講師

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