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広域災害における在宅医療[私の治療]

No.5187 (2023年09月23日発行) P.44

古屋 聡 (山梨市立牧丘病院)

登録日: 2023-09-25

最終更新日: 2023-09-21

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  • もともと地震などの災害が多い日本の地理的事情に加え,近年の異常気象による水害などが多発している状況,さらに全世界的災害と言えるコロナ禍について考えても,すべての医療機関において災害対応の準備が必要である。また自然災害でなくても,広汎な停電やインターネット障害は起こる可能性があり,これが続く場合の医療機関および患者への影響は深刻である。被災して外来などが稼働できなければそのままでも仕方がないかもしれない一般医療機関に対し,在宅医療を行っている医療機関では,たとえ施設が稼働不能でも「被災した在宅患者」について,生命が守られた上で適切に生活が継続できることにも注力していかなくてはならない。局地的災害であっても広域災害であっても,「自らの力でできるところはやる,できない場合はきちんと援助を求める」ことが大切であり,基本的対処に変わりはない。

    ▶マイ・タイムラインと初動

    「何かが起こった」とき,まずは自分(家族)と職員の安全が最優先である。自分と家族の安全が確保された上で,職員の安否をしっかり確認するために,電話網やLINEグループ,またはMedicalCareStationのようなSNSでも,普段から何らかのツールを使って連絡がとれるようにしておくことが望ましい(複数のツールが使えることが望ましい)。最悪の場合,災害用伝言ダイアル(171)を利用しなければいけない場合もありうる。また有事かそうでないかの決定とその後の対応についても「指揮者(コマンダー)」が重要であり,コマンダーが不在の場合のことも含めて組織図などで明確にしておく必要がある。

    災害時に「自分の身を守る動き」を確かめておくために,東京都は「東京マイ・タイムライン」1) を提唱している。

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