□全身の皮膚や粘膜に水疱を生ずる自己免疫性水疱症で,高齢者に好発する。
□表皮と真皮の境界部にある基底膜構成蛋白に対する自己抗体(IgG)により,表皮下水疱を形成する。
□水疱性類天疱瘡と粘膜類天疱瘡に分類される。
□2015年7月1日,厚生労働省の指定難病に新しく登録された。難病医療費助成制度を申請する場合は診断基準を満たし,重症度分類の中等度以上が必要である。
□水疱性類天疱瘡では,大小の緊満性の水疱や浮腫性紅斑が多発し,そう痒を伴う(図1)。
□上皮化後に色素沈着は残すが,瘢痕は残さない。
□粘膜症状は稀である。
□水疱性類天疱瘡の亜型として,妊娠中や産褥期の女性で発症する妊娠性疱疹がある。
□自己抗体が認識する自己抗原は,BP230やBP180である。
□粘膜類天疱瘡は口腔や眼結膜に繰り返し水疱を生じ,上皮化後に瘢痕を残す。
□失明に至る例もある。咽頭,喉頭,食道,尿道,腟,肛門の粘膜を侵されることもある。
□高率に内臓悪性腫瘍を合併する。
□自己抗原は,BP180やラミニン332である。
□検査の基本は,皮膚生検からの病理検査と蛍光抗体法である。
□病理検査で表皮下水疱を確認し(図2),蛍光抗体直接法で表皮真皮境界部にあるIgGや補体(C3)の沈着を証明する。血清を用いた蛍光抗体間接法で,抗基底膜抗体(IgG)を検出できる。
□血清中の抗BP180抗体検査(最近,ELISA法からCLEIA法に変わる)が保険収載され,比較的簡便に診断可能であるが,BP180の一部の部位が自己抗原として使用されているので,類天疱瘡でも陰性となる場合がある。
□自己抗原の詳細な解析は免疫ブロットが必要になるが,わが国では一部の施設のみで可能である。
□診断は,臨床症状,病理検査,免疫学的検査から総合的に判断される。
□鑑別診断として,他の自己免疫性水疱症,熱傷,虫刺症,多形滲出性紅斑,薬疹,水疱性エリテマトーデス,表皮水疱症などが挙げられる。
□厚生労働省の指定難病のサイトに,類天疱瘡の診断基準,重症度分類(BPDAI)が挙げられている。
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