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癜風

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-24
望月 隆 (金沢医科大学皮膚科学講座教授)
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  • ■疾患メモ

    毛包の常在菌であるMalassezia globosaによる角質の感染症。自覚症状はないが,皮膚の色調の変化のために医療機関を受診することが多い。

    *:癜風の原因菌はMalassezia furfurとされていたが,1996年以降Malassezia属の分類の見直しが行われた。現在,それ以前のM. furfur(広義)は,M. furfur(狭義)の他,いくつかの新種に分割され,癜風は新しく記載されたM. globosaに起因することが明らかにされた1)。また,マラセチア毛包炎の原因菌もM. globosaとされている1)

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    上半身(前胸部─頸部,腋窩)に好発する多発性の境界明瞭な色素斑,または脱色素斑(図1)。病変部を擦ると意外に大量の細かい鱗屑が出現する(Hobelspan現象,カンナ屑現象)。

    14_54_癜風

    自覚症状はないため,腋窩,背部に皮疹があっても気づかないことがある。放置すると治療後も長期にわたり色素異常が改善しないことがある。

    小児が罹患することは少なく,思春期,青壮年に好発し,夏に発症,増悪する。

    マラセチア毛包炎を合併することがある。マラセチア毛包炎は夏に体幹,特に胸,背部,肩にかゆみのある赤色の光沢のある丘疹として生じる。尋常性挫瘡(にきび)と異なり多形性を欠き,面皰を認めず,左右対称性に多発するが,大きさがそろっている。大きさは半米粒大のものが多い。

    【検査所見】

    病巣をメスの刃などで擦って得た鱗屑をKOH直接鏡検法で観察する。「スパゲティーとミートボール」と表現されるような,太短い菌糸と球状の胞子状菌要素が大量に観察できる(図2)。病巣の上にセロファンテープを貼って剥がすと,病巣のみ鱗屑が白く付着してくるので診断や再発の目安になる2)。このテープはそのままKOH法に用いることができる2)。暗室内でWood灯(365nmの長波長紫外線)の照射下に病巣を観察すると黄色調に見える。

    培養検査は原因菌が常在菌であるため意味がない。

    マラセチア毛包炎は丘疹の内容をピンセットや面皰圧出子で採取し,1毛包あたり10個以上の胞子の存在を確認して診断する1)。特に胞子状の菌要素は染色しなければきわめて見にくいのでズームブルー®(久光製薬),酸性メチレンブルー1)あるいはシカゴスカイブルーで染色し,顕微鏡のコンデンサーの絞りを開いて観察する。

    シカゴスカイブルーはKOH液との混和が可能で,Malasseziaの検出には特に有効3)とされる。

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    コチラより

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