編集: | 和田隆志(金沢大学大学院 腎臓内科学 教授) |
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編集: | 湯澤由紀夫(藤田医科大学医学部 腎臓内科学 教授) |
判型: | A5判 |
頁数: | 188頁 |
装丁: | 2色部分カラー |
発行日: | 2018年12月31日 |
ISBN: | 978-4-7849-5660-9 |
版数: | 第1版 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
■新規透析導入の原疾患として糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎に次いで多く、増加の一途をたどっている腎硬化症。現状で、診断・治療については十分に議論されておらず、対策が重要な課題となっています。
■本書は第一線で活躍中の専門家が集結し、疫学、分子機序、診断、治療、透析導入、腎移植、糖尿病性腎症や肥満関連腎症等の他疾患との関連などについて執筆。最新知見を余す所なく解説しています。
1. 腎硬化症の疫学と現状
2. 腎硬化症の診断
3. 高齢社会における腎硬化症の臨床レジストリー
4. 腎硬化症の分子機序
5. 腎硬化症の血管病変
6. 腎硬化症腎生検データベース
7. 腎硬化症と肥満関連腎症
8. 尿酸と腎硬化症
9. 糖尿病性腎症と腎硬化症
10. 良性・悪性腎硬化症
11. 腎硬化症と治療
12. 透析導入の判断と維持
13. 腎硬化症患者の腎移植
わが国は超高齢社会となり、動脈硬化、血管病変を背景とする腎硬化症の臨床上の重要性が年々増してきています。実際、新規に透析に導入される原疾患としては、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎についで多く、その数はさらに増加しています。したがって、腎硬化症の理解とその対策は重要な課題です。さらに、超高齢社会を迎えている国々の共通の課題でもあり、高齢化が先んじているわが国からの情報発信はとても貴重であると思います。
腎硬化症は、血管病変を背景とするその成り立ちから、種々の腎臓病の病態に影響を与えていることが考えられます。一方で、その診断や治療法などは、 いまだ十分に論じられていないのが現状です。高血圧性腎硬化症に関する病理診断については、その病理所見の定義を含めて議論されてきました。さらに、高血圧性腎硬化症のレジストリーも立ち上がり、その臨床病態の解明と治療や予後改善への示唆に富む結果も出てきています。こういった腎硬化症の超高齢社会での変遷や、それに対応する病態解明、臨床疫学の基盤が構築されつつある中で、なおいっそう、最新の知見に基づく包括的な理解と臨床への応用が求められています。これらの国内外における知の集積とその利活用により、解明がいっそう進むとともに予後の改善が得られることを強く祈念しております。
本書では、このような背景のもとで腎硬化症の研究、診療で八面六臂のご活躍をされている先生方に最新の知見をまとめて頂きました。これまで、腎硬化症の早期診断から透析や腎移植に至る治療まで、総合的に論じた成書は比較的少ないのではないかと思います。
まさに時宜を得たものであると思います。この包括的な1冊を通じて、腎硬化症に関するいっそうの議論と理解への一助となりましたら、編集、執筆に携わってきた者として大変うれしく、そしてありがたく存じます。どうぞご活用頂き、忌憚のない建設的なご意見をうかがえれば幸甚です。
2018年12月
和田隆志
湯澤由紀夫