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よくわかる病態生理 3 消化器疾患

病態生理を軸として疾患をより良く理解するシリーズ

定価:5,060円
(本体4,600円+税)

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編集: 森脇久隆(岐阜大学医学部教授)
判型: 菊判
頁数: 264頁
装丁: 2色刷
発行日: 2007年08月29日
ISBN: 978-4-7849-1550-7
版数: 第1版
付録: -

病態生理を軸として、疾患をより良く理解するためのシリーズです。「医学教育モデル・コアカリキュラム」に示された疾患と症候について、初学者向けにやさしく解説しました。いかにして正常機能の破綻が起こり、どのような変化(症候,検査)が現れるかを理論的に学んでいきます。疾患の成り立ちをしっかり理解して、診断学・治療学の基礎を身に付けてください。

目次

第1章 食道疾患
食道の構造と部位による違い
咀嚼と嚥下の機構
嚥下困難・嚥下障害
食道癌
食道静脈瘤
胃食道逆流症・逆流性食道炎
マロリー・ワイス症候群

第2章 胃・十二指腸疾患
胃液の分泌機序
悪心・嘔吐
腹痛
食欲不振
ヘリコバクター感染症
消化性潰瘍
胃癌
胃ポリープ
急性胃粘膜病変
慢性胃炎
胃切除後症候群
肥厚性幽門狭窄症

第3章 小腸・大腸疾患
小腸における消化吸収の仕組み
大腸における糞便形成と排便の仕組み
便秘・下痢
吐血・下血
大腸癌
大腸ポリープ
急性虫垂炎
イレウス
潰瘍性大腸炎
クローン病
痔核・痔瘻
消化管に対する自律神経の作用
過敏性腸症候群
腸管憩室
薬剤性大腸炎
消化管ポリポーシス
大腸の先天性疾患(鎖肛,ヒルシュスプルング病)
腸重積症
消化管カルチノイド

第4章 胆道疾患
胆汁の作用と胆汁排泄の調節機構
黄疸
胆石症
胆道感染症(胆嚢炎・胆管炎)
胆嚢癌・胆管癌
胆嚢ポリープ
胆道の先天奇形(膵胆管合流異常症・先天性胆道拡張症)

第5章 肝疾患
肝の組織構造と肝細胞の機能
肝循環の特徴
肝腫大
腹部膨隆(腹水を含む)・腹部腫瘤
ウイルス性肝炎
急性肝炎・慢性肝炎
肝硬変
肝硬変の合併症
原発性肝癌
アルコール性肝障害
薬物性肝障害
肝膿瘍

第6章 膵疾患
膵外分泌系の構造と膵液の作用
急性膵炎
重症急性膵炎
慢性膵炎
膵癌
嚢胞性膵疾患

第7章 腹膜・腹壁疾患
腹膜と臓器の関係
腹膜炎
ヘルニアの概念と好発部位
鼡径ヘルニア

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序文

編集にあたって

€ さまざまな疾患を正確に診断し最適の治療を行うためには、それぞれの疾患について発症メカニズムを理解しておく必要がある。すなわち病態生理の知識である。たとえば本巻で対象とした消化器疾患についていえば、「消化不全・吸収不全」、「肝不全」、「慢性膵炎非代償期」などの用語が頻繁に用いられる。これらはいずれも各臓器の機能が原因疾患のため不全状態となったこと(非代償化)を意味し、本来の臓器構造と機能を理解しておけば、自ずと症状、対策が導き出される。
たとえば小生が専門とする肝臓を例としてみよう。最も重要な肝機能のひとつに物質代謝能(解毒能)がある。その代表がアンモニア代謝である。アンモニアは腸内細菌などによって常に産生されているが、肝硬変などの基礎疾患で代謝が低下し、血中濃度が上昇すると中枢神経系を抑制し意識障害をきたす(肝性脳症)。肝硬変脳症の病態をごく簡潔に記したが、これを知っているだけで、対策が(1)アンモニア産生の抑制、(2)肝硬変自体の治療、(3)アンモニア解毒の促進、に大別されることは容易に思い浮かぶ。さらに(1)はラクツロースや抗菌薬など腸内細菌対策、(2)は抗ウイルス療法、肝移植、(3)は分岐鎖アミノ酸などによる肝臓以外でのアンモニア代謝促進、へと繋がっていく。
肝性脳症を例に病態生理と症状、治療の対応を示したが、他の疾患・症候についてもアプローチの仕方は全く同様である。構造・機能の基礎知識に基づいて病態が理解できていれば、以降のストーリーは比較的容易に誘導できる。このような思考過程の獲得を目的として本シリーズが企画され、また本巻の各項も執筆された。学生・研修医から自分の知識をブラッシュアップしようとするベテラン医師まで、病態生理に基づいた臨床思考と知識を是非獲得していただきたい。

2007年7月記
森脇久隆

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