診療科: | 小児科 | 小児科 |
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シリーズ: | よくわかる病態生理 シリーズ |
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第1章 新生児
新生児の生理的特徴
胎児循環・呼吸と出生時の変化
呼吸窮迫症候群
新生児遷延性肺高血圧症
新生児の呼吸障害
低出生体重児
胎児仮死と新生児仮死
新生児マススクリーニング
新生児黄疸
未熟児網膜症
新生児の感染症
救急を要する新生児疾患
乳幼児突然死症候群
第2章 先天異常
単一遺伝子病
多因子遺伝病
先天奇形
第3章 消化器疾患
小児の嘔吐
小児の下痢
小児の血便
小児の腹痛
第4章 内分泌・代謝性疾患
低身長
肥満症
尿崩症
脱 水
先天性甲状腺機能低下症
先天性副腎過形成症
第5章 アレルギー
気管支喘息
アトピー性皮膚炎
蕁麻疹
食物アレルギー
リウマチ熱
川崎病
第6章 腎疾患
ネフローゼ症候群
小児腎炎の特徴
第7章 神経・精神疾患
水頭症
髄膜炎
脳炎・脳膿瘍・急性脳症
熱性けいれん
てんかん
脳性麻痺
乳幼児の精神運動発達とその異常
注意欠陥/多動性障害・自閉症・学習障害
第8章 神経筋疾患
フロッピーインファント
筋ジストロフィー
重症筋無力症
第9章 感染症
小児の免疫系の発達と感染症
小児の細菌感染症
小児のウイルス感染症
発疹をきたす感染症
予防接種
第10章 小児腫瘍
白血病
固形腫瘍
第11章 思春期
思春期発現の機序と性徴
思春期と関連した精神保健上の問題
編集にあたって
「子どもの笑顔はかわいいけれど、どう接して良いかわからない」
「小児科はおもしろそうだけれど、学ぶことが多すぎて大変だ」
学生からしばしば聞く言葉である。私自身も学生時代、同様に感じた。
なぜだろう?
まず、子どもは成長・発達という縦糸がきわめて長く複雑だ。受精の瞬間から、場合によっては遺伝子の段階から始まり、胎児、新生児、乳児、幼児、学童、思春期、成人へと、その成長・発達は目ざましい。多くの子どもに接しなければ、子どもの成長・発達を実感して理解できないだろう。学業に追われ、子どもに接した経験に乏しい学生諸君が理解するのは大変だろうな、と同情を覚える。
次に、小児科は子どもの総合診療科であり、守備範囲がとても広い。教科書を開くと、すべての領域にわたり疾患名がずらりと並んでいる。それを見ただけで目眩を感じる学生諸君もいるだろう。これほど広範囲なのに、講義時間や実習時間は内科の数分の一だ。学生が途方に暮れるのも充分理解できる。
しかし、成長・発達という縦糸と、総合診療という横糸をうまく結びつけると、小児科という素敵な織物ができあがってくる。子どもの病態生理を理解し、丁寧な医療面接と身体診察を行うと、臨床検査に頼らなくても、多くの重要な子どもの病気を診断することができる。これは小児科医にとっての醍醐味と言えるだろう。
本書は小児疾患を網羅した教科書とは異なり、病態生理に重点を置いて、代表的な小児疾患を、その分野のエキスパートの方々が解説してくださっている。コンパクトな構成、内容であるので、ぜひ通読して小児科の概念を理解し、小児科という素敵な織物を紡いでほしい。
2008年10月
鈴木康之