診療科: | 整形外科 | 整形外科 |
---|
シリーズ: | よくわかる病態生理 シリーズ |
---|
第1章 総 論
運動器の構造と疾患
上肢の骨・関節、主要筋の運動と神経支配
下肢の骨・関節、主要筋の運動と神経支配
運動器のバイオメカニクス
第2章 関節疾患
関節および関節軟骨の構造と機能
関節腫脹、関節痛
変形性関節症(総論)
骨盤の構造と性差
股関節の構造と特徴
股関節脱臼・亜脱臼、臼蓋形成不全
変形性股関節症
膝関節の構造と特徴
変形性膝関節症
関節リウマチ
痛風・高尿酸血症
化膿性関節炎
肩関節の構造と特徴
肩関節脱臼、肩鎖関節脱臼、肘関節脱臼
シャルコー関節
靱帯の構造と機能
動揺関節、関節弛緩
捻挫・靱帯損傷
第3章 骨疾患
骨の構造と機能
骨の成長
骨系統疾患
骨形成と骨吸収
カルシウムの恒常性維持機構
くる病・骨軟化症
骨粗鬆症
骨の修復
長管骨骨折
関節内骨折
特発性大腿骨頭壊死症
ペルテス病
キーンベック病
骨髄炎
第4章 脊椎疾患
椎骨の構造と脊柱の構成
姿勢と体幹の運動に関わる筋
腰背部痛
腰椎椎間板ヘルニア
腰部脊柱管狭窄症
腰椎分離・すべり症
頚椎症性脊髄症・頚椎症性神経根症
化膿性脊椎炎
転移性脊椎腫瘍
脊髄損傷
第5章 神経・筋疾患
骨格筋の構造と機能
挫滅症候群
区画(コンパートメント)症候群
末梢神経の構造と機能
絞扼性神経障害
運動麻痺・筋力低下
第6章 腫 瘍
骨腫瘍
軟部腫瘍
編集にあたって
超高齢化社会を目前に、健康長寿、すなわち健康に生き抜くということが、個人にとっても社会・経済的観点からもたいへんに重要視されています。自らの意思で動けることは健康の基本であり、骨、関節、神経、筋など身体の運動を司る器官である運動器はその大黒柱といえます。あらゆる年齢層で身近になっているスポーツ活動においても運動器は中心的な役割を果たします。その運動器の疾患を扱うのが整形外科です。
整形外科が対象とする運動器に対する世界的な関心は、西暦2000年から2010年までを「運動器の10年」とする活動に表れています。WHOを中心に各国の後援を得て世界中でこの活動は展開されています。運動器疾患に対する効率的で質の高い予防法や治療法を開発し、さらに基礎的な研究を押し進めることを目標に定めています。それらが推進され、また、個々人の運動器への理解が高まれば、運動器の健康を通じた健康長寿が実現することになります。健康に貢献する医学の使命に関して、運動器はきわめて大切な役割を担っています。
日進月歩の医学にあって、常に最新の情報を吸収していくには、その分野の基本的な知識を十分に習得しておく必要があります。基本ができていれば、新しい知見に触れたとき、その意義や取捨選択が容易になります。また、その知見の応用ができます。本書の編集にあたっては、臨床に役立つという観点を重視しながら、運動器の病態生理をわかりやすく解説しました。執筆者は臨床と教育の第一線で活躍されている方々ばかりで、最新の知見も含まれています。運動器と運動器疾患の基本を理解するための絶好の書です。本書を大いに活用し、整形外科が扱う運動器への興味を深めて頂きたいと思います。
2007年11月
久保俊一