編著: | 許 勝栄(Guam Memorial Hospital, Emergency Department) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 272頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2014年11月10日 |
ISBN: | 978-4-7849-4450-7 |
版数: | 第1版 |
付録: | - |
診療科: | 外科 |
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第1章 ゼッタイ押さえておきたい小外科の基本
1 創傷—初療の原則
A 創傷で来院した患者の診方
B 病歴聴取,身体所見,治療,記録,フォロー
C 縫合法
D 部位別処置方法
1 頭皮の創傷
2 顔面の創傷
3 手の創傷
2 熱傷—初療の原則
A 病歴聴取,身体所見,検査,治療,記録,フォロー
B 部位別処置方法
1 顔面熱傷(気道熱傷)
2 四肢熱傷
3 陰部熱傷
3 骨折—初療の原則
A 病歴聴取,身体所見,検査,治療,記録,フォロー
B 部位別処置方法
1 鎖骨骨折
2 肋骨骨折
3 上腕骨骨折
4 肘関節
5 前腕骨折
6 手関節
7 手(中手骨・指骨)
8 膝関節
9 足関節
10 足
4 感染予防と破傷風予防
1 洗浄についての基礎知識
2 消毒の有効性は?
3 抗菌薬全身投与の必要性(点滴? 経口? どの抗菌薬?)
4 破傷風予防が必要なときと方法は?
5 鎮痛と鎮静
1 鎮痛・鎮静に対する苦手意識
2 精神的側面への配慮
3 局所疼痛管理
4 全身疼痛管理
5 鎮静薬の選択と使い方
6 包括的管理
7 小児・高齢者に対する注意
8 筆者の必勝パターン
第2章 部位別・疾患別小外科の処置
1 頭頸部
1 軽症頭部外傷
2 頸椎捻挫
2 眼科・耳鼻科
1 眼の異物
2 外耳道異物
3 鼓膜穿孔
4 耳介血腫
5 鼻出血
6 鼻骨骨折
7 鼻内異物
8 咽頭異物(魚骨)
3 口腔
1 顎関節脱臼
2 歯牙破折と歯牙脱臼
3 抜歯後出血
4 消化管
1 食道異物
2 鼠径ヘルニア用手還納法
3 直腸異物
5 泌尿器
1 嵌頓包茎
2 精巣捻転─精巣捻転用手的整復法
3 包皮ファスナー外傷
4 尿閉
6 上肢
1 肩関節脱臼
2 肩鎖関節脱臼
3 肩関節穿刺─肩峰下滑液包穿刺,上腕肩甲関節穿刺
4 肘内障
5 手指関節捻挫・靱帯損傷
6 手指関節脱臼
7 指輪除去
8 爪囲炎
9 爪下血腫
10 爪脱臼
7 下肢
1 膝関節捻挫
2 膝蓋骨脱臼
3 膝関節穿刺
4 アキレス腱断裂
5 足関節捻挫
8 その他
1 皮下異物,爪下異物─トゲなどの異物
2 釣り針除去
3 皮下膿瘍,毛嚢炎,せつ,癰
4 咬傷:動物,ヒト,ヘビ,ダニ
小外科知っとこコラム集
◎カマイタチ(鎌鼬,鎌風)伝説
◎知っておきたい血腫の予後(溶解,外傷性のえくぼ,chronic expansion hematoma)
◎鉤型のきずって…?
◎創治癒と血流の関係
◎末梢を茎とする皮弁状のきずにたばこは御法度!
◎血流と感染の関係
◎縫合か? テープ保護か?
◎創閉鎖のgolden time
◎清潔と不潔,汚染─救急外来は公衆便所?!
◎洗浄水は水道水? 生理食塩水?
◎大量の水は洗浄に絶対必要?
◎指輪は外すのが原則!
◎顔面に組織欠損はめったに起こらない!
◎ドレーンは有効か?
◎腫脹(むくみ)対策は大事!
◎細い糸ほど,細かい縫合ほどきず跡がきれい?
◎きず周囲の汚れ
救急外来の現場で働く医師には、緊急性の有無を判断することと、これに基づいた適切な医療を提供するための知識と技術が要求されます。そうは言うものの、多種多様な訴えと問題で受診される患者さんの診療にあたり、様々な処置と技術に精通し、 いかなるときも速やかにこれを行うことは決して容易なことではありません。
そこで、救急診療で必要とされうる小外科処置が幅広く掲載され、いざ処置を行うにあたっての必要なステップを素早く確認でき、また、どういったポイントに注意を払うべきかについて、 あまり時間をかけることなくレビューできることを目標として本書は作成されました。執筆して下さった先生方は、 臨床の現場で患者さんの訴えと問題に真摯に向き合っておられる方ばかりです。そのような先生方の経験に裏打ちされた知識と知恵がそれぞれの項目にぎっしりとつまっており、救急外来の現場で働く医師、特に経験の浅い若い医師にとって、実用的なテキストになっていると信じています。頭でわかっていても、 経験がないと躊躇してしまうことは不思議ではありません。いざというときには経験がものをいう救急外来という現場で、 若い医師が経験を積んで行く上で本書が少しでも役に立つようであれば幸いです。
本書を読む上での注意点について、ここで触れておきます。救急医療にはユニバーサルモデルは存在しません。その国、その地域、その病院によって要求される救急医療、提供する救急医療は様々です。また、救急医療の現場では患者診療が自己完結でないことも多く、他の診療科、他の職種との協働によって成り立つものであることから、救急医として「ここまでは診るべき」、あるいは「ここから先は診なくてよい」という線引きを画一的に行うことは不可能です。本書に記された内容もその線引きの基準を示したものではなく、どこまでの処置を救急外来で働く医師として行うのかは、あくまでもその施設の方針に従っていただければ、と思います。
最後に、お忙しい中、各項目を懸命に執筆して下さった先生方に感謝申し上げます。
下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。