編著: | 海津嘉蔵(日本大学医学部腎臓高血圧内分泌内科学分野客員教授/医療法人阿部クリニック理事長・院長) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 164頁 |
装丁: | 2色刷 |
発行日: | 2015年04月15日 |
ISBN: | 978-4-7849-4485-9 |
版数: | 第1版 |
付録: | - |
その1 CKD治療にチーム医療が必要な理由って?
その2 CKDチーム医療の特徴って?
1)通常の一般外来とチーム医療の違い
2)チーム医療と横断治療の違い
その3 CKDチーム医療とは?
1)チーム医療の目的
2)チーム医療の意義
3)チーム医療のこれまでの経緯と取り組み(歴史)
その4 CKDチーム医療外来の模範例を知っておこう!
1)チームで外来を行う目的とは?
2)そのチーム構成はどうする?
3)実施場所はどうする?
4)診療時間はどうする?
5)チームで外来診療を行う流れは?
6)実施期間は? その効果をどう評価する?
その5 CKDチーム医療における各職種の役割を押さえておこう!
A 医師は何をどこまで行うの?
B 看護師は何をどこまで行うの?
C 管理栄養士は何をどこまで行うの?
D 薬剤師は何をどこまで行うの?
E 臨床検査技師は何をどこまで行うの?
F リハビリテーションは何をどこまで行うの?
その6 各施設でのCKDチーム医療の実践
A これだけしかスタッフがいなくてもここまでできる!─ 診療所/クリニックの取り組み
阿部クリニックの場合
椎貝クリニックの場合
自由が丘横山内科クリニックの場合
B これだけのスタッフがいたらこんなこともできる!─ 一般病院の取り組み
聖隷浜松病院の場合
近江八幡市立総合医療センターの場合
東北労災病院の場合
C スタッフがそろっていたらこんなにできる!─ 大学病院の取り組み
聖マリアンナ医科大学の場合
日本大学医学部附属板橋病院の場合
その7 CKDチーム医療の効果を知り評価する方法って?
その8 日本CKDチーム医療研究会について
索引
これまで腎臓病は症状が乏しく,患者数も多くなく,画期的な特効薬も少ないことから,心臓や消化器の疾患と比べて地味で目立たない存在であったように思います。
しかし近年,腎臓病は「慢性腎臓病(chronic kidney disease;CKD)」という新しい概念となって,表舞台に登場しました。なぜ,そのように医学界のみならず社会的にも脚光を浴びるようになったのでしょうか? その理由は,末期腎不全(透析)患者の著しい増加,それに伴い増大する医療費,また社会
的負担となる要介護身体障害者の増加などから,CKDが医学的,そして社会的に困った問題として注目を集めることになったのです。
さらになぜ,末期腎不全(透析)患者が増加し続けているのでしょうか? 多くの素晴らしい医療設備を整えた病院も増え, 効果的な治療薬が登場してきているにもかかわらず,腎不全患者の増加を阻止できないのでしょうか?この理由の1つは,少なくともCKDに対する我々の取組みが不十分であったからではないでしょうか。少なくとも,我々医療者は,医療機関レベルでの取組み方について問題がなかったかどうかを反省しなくてはなりません。
現在,一般的な外来治療の方法は医師による治療が中心ですが,この従来の方法ではなく,CKDの進行を阻止しうる機能を備えた新たな仕組みを創造し,構築することが求められていると考え,模索する中で生まれたのが「CKDのチーム医療」です。
これはCKDを十分かつ安全に治療するために,医師が看護師・管理栄養士・薬剤師などのメディカルスタッフと協力・連携・補完して行う医療です。理念と方針を明確に示した上で実行する「CKDチーム医療」の試みはここ数年の流れですが,医療機関の規模,スタッフの数と能力,設備などによってチーム医療の内容は多種多様であり,その体制の構築は簡単ではありません。とりわけ,チーム医療を実施したことのない未経験の方々にとっては,どのようにすればよいのか検討がつきにくいことでしょう。
そこで,「CKDチーム医療」の立ち上げに際してそのノウハウを教えてくれる手引書が必要となると考え,企画したのが本書です。本書ではCKDチーム医療の意義・理念・構成と各職種の役割について一般的な解説に加えて,医療機関の規模別にチーム医療構築の実際例,そのコツと問題点を解説して頂いています。わが国の「CKDチーム医療」を実際に立ち上げた方々の知恵が詰まった内容となっています。
本書は「あなたも名医! 透析まで行かせない! CKD診療」(jmedmook No.29,日本医事新報社発行)に続く企画ですので,できればjmedmookと併せてお読み頂き,参考にして頂ければと思います。
両書籍がチーム医療の立ち上げを希望する先生方のお役に立てば幸いです。
最後になりましたが,ご多忙の折に,原稿を執筆下さいました著者の皆様に心より御礼申し上げます。