(千葉県 K)
ビオフェルミン®やラックビー®の散剤を服用する際に,熱感を感じることがあります。これは製剤の乾燥度によって生じる湿潤熱が原因であり,異常を示すものではありません。湿潤熱とは,固体表面に液体が接触すると,固体の溶解や液体との化学反応が起こらないときでも,固体-液体界面で発生する熱のことであり,浸漬熱とも呼ばれています1)。
ビオフェルミン®やラックビー®などの製剤は,ご存知の通り,生きた乳酸菌を含む生菌製剤で,服用するときまで生きた状態でなければなりません。乳酸菌は嫌気性菌で,熱や水に弱いため2),菌体を長期間安定な製剤にするには,製剤の乾燥度を高くする必要があります。また,これらの製剤を安定に保つためには,気密性の高い容器に入れて,室温または製剤によっては冷所で保存し,特に吸湿には注意して,保存する必要があります。よって,これらの製剤は乾燥度が高いことから,液体との接触で発生する湿潤熱が大きくなり,服用する際に熱感を感じることがあると考えられます。
一方,コデインリン酸塩散などの製剤はこれらの製剤よりも乾燥度が低いため,発生する湿潤熱が低く,熱感を感じるほどではないと考えられます。また,同じ乳酸菌製剤でも,錠剤より液体に接する表面積が大きい散剤のほうが,湿潤熱を発生しやすく,熱感を感じやすいと考えられます。
【文献】
1) Ogawa H, et al:Netsu Sokutei. 2006;33(4): 148-59.
2) 加藤一哉, 他:医療薬学. 2008;34(3):235-9.
【回答者】
夏目秀視 城西大学薬学部製剤学講座教授
内田昌希 城西大学薬学部製剤学講座准教授