飯田市立病院消化器内科の岡庭信司部長は1日、超音波検査による膵がんの早期発見をテーマにGEヘルスケア・ジャパンが都内で開いたプレスセミナーで講演し、「ハイリスク患者への定期的なスクリーニング」の重要性を強調した。
講演で岡庭氏は、日本膵臓学会と全国がん(成人病)センター協議会のデータを紹介し、膵がんは半数以上の患者が転移のあるステージⅣbの状態で発見され、10年相対生存率が4.9年と他の臓器がんに比べきわめて低いと説明。「膵がんの進行は決して早くないのに予後が悪い。自覚症状が乏しく早期診断は難しいが、発がんが始まり転移能を獲得するまで7年かかるため、早期診断できる時期が少なくとも2、3年はある」と指摘した。
その上で岡庭氏は、膵がんのハイリスク要因として家族歴や糖尿病、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、主膵管拡張と囊胞性病変などを挙げ、早期診断にはこれらの患者に対する精査と観察が重要と訴えた。
ハイリスク群の患者への観察に当たっては、1㎜以下の膵管や膵内胆管を描出できる高周波プローブを搭載する超音波診断装置を用いることがポイントとし、「3㎜以上の主膵管拡張や5㎜以上の嚢胞性病変、膵管狭窄とその周囲の淡い低エコー領域がスクリーニングの対象になる」と述べた。
岡庭氏は高解像度の診断装置によるハイリスク群のスクリーニングの効果に期待を示した上で、①超音波健診判断基準の普及、②不足しているスクリーナー(検査担当者)の教育─が今後の課題とした。