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(3)骨髄異形成症候群の移植適応と効果[特集:高齢者の貧血を診たら骨髄異形成症候群を考える]

No.4914 (2018年06月30日発行) P.40

宮腰重三郎 (東京都健康長寿医療センター血液内科部長)

登録日: 2018-07-02

最終更新日: 2018-11-28

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骨髄異形成症候群(MDS)は多能性造血幹細胞のクローン性疾患で,高齢者に多い

MDSは白血化が少ないLow risk群と白血化しやすいHigh risk群に大きくわけられ,治療方針も異なる

現在,治癒を期待される治療法は同種造血幹細胞移植のみであるが,MDSは高齢者に多いため,同種造血幹細胞移植におけるエビデンスは乏しい

同種造血幹細胞移植や化学療法においても,暦年齢のみだけで治療適応を決めるべきではない

1. 骨髄異形成症候群(MDS)の臨床像・予後の多様性

骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes:MDS)は多能性造血幹細胞のクローン性疾患である。無効造血による血球減少と急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)への進展を特徴とする疾患群で,その臨床像や予後は多岐にわたる。

わが国では,1993~2008年までの地域がん登録データより,発症年齢の中央値は76歳であった。罹患率は年齢とともに上昇し,特に70歳以上で急激に上昇していた。2008年の粗罹患率は男性で10万人/年当たり3.8人,女性で10万人/年当たり2.4人であった。年齢中央値が76歳と高齢で,一般的な移植適応から外れることが多いが,human leukocyte antigen(HLA)半合致移植や臍帯血移植と骨髄非破壊的移植前処置の組み合わせにより移植適応症例の拡大の努力がなされている。

MDSのWHO分類,Hematopoietic Cell Transplantation Comorbidity Index(HCT-CI),Pretransplant Assessment of Mortality(PAM)score,revised PAM score,International Prognostic Scoring System(IPSS),revised IPSS(IPSS-R),HLA半合致移植,Posttransplant Cyclophosphamide(Post-CY)の詳細は成書をご参照頂きたい。

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