心臓デバイス植込み後の自動車運転は,道路交通法と警察庁交通局運転免許課長通達によって規定されているが,2017年9月から以下のように変更されたため,概説する。
初回植込みに関しては,植込み前に心室頻拍・心室細動などに伴う意識消失の既往がある患者に対する植込み(いわゆる二次予防目的の植込み)の場合,植込み後6カ月間,意識消失や作動がなければ運転許可となる。一方で,植込み前に意識消失の既往のない患者への予防的植込み(いわゆる一次予防目的の植込み)の場合,植込み後7日間,意識消失や作動がなければ運転可能となる。
作動とは,電気ショックを伴う除細動作動だけでなく,抗頻拍ペーシングも含まれる。一方で,心房細動などの上室性頻拍等に対する不適切作動の場合は,意識消失がなければ作動には含まれないが,不適切作動であっても意識消失をきたす場合には,適切作動と同様に運転制限が課される。
電池交換に関しては,交換の時点で運転が許可されていた場合は術後7日間,リード交換や追加を行った場合にも術後7日間観察の上,作動がなければ運転が許可される。一方,意識消失もしくは作動があった場合には,作動時点から3カ月間の運転制限が課される。作動後の観察期間中に再度作動があれば,運転許可に必要な観察期間は,最後の作動から3カ月間さらに延長される。
【参考】
▶ 日本不整脈心電学会:ICD・CRT-D植込み後の自動車の運転制限に関して. 2017.
[http://new.jhrs.or.jp/public/pub-icd-crt/]
【解説】
岸原 淳 北里大学循環器内科