ラオス人民民主共和国カムアン県セバンファイ郡ブンフアナー村ドンサワン集落において,住民間で常在的に高感染率を有する鉤虫症(hookworm disease, ancylostomiasis, necatoriasis),タイ肝吸虫症(clonorchiasis)の集団便検査(MSE)と集団投薬(MDA)を実施した。従来より現地で行っている衛生教育に寄生虫感染予防に対する教育をさらに強化して行い,両症への予防効果を聞き取り調査から検討した。併せて,対象地域の寄生虫感染状況と生活環境の現状をふまえて感染予防効果向上のための提言を行った。
ラオス人民民主共和国カムアン県セバンファイ郡ブンフアナー村ドンサワン集落(図1・2)に常時居住している住民190名(42世帯)のうち,2013年5月と14年1月の聞き取り調査参加に同意した88名(41世帯)を対象とした。寄生虫感染に関する知識レベルを把握するため13年5月に聞き取り調査を行った。
その後,寄生虫感染予防に関する衛生教育をさらに強化して行い,14年1月に同じ質問票を用い知識レベルの向上を確認し,それに伴う鉤虫症とタイ肝吸虫症の感染率の推移を現地の生活環境の現状とともに検討した(図3)。
ドンサワン集落に常時居住している住民190名を対象に2013年5月の聞き取り調査後,集団便検査(mass stool examination:MSE)および集団投薬(mass drug administration:MDA)を実施した。また,再感染の状況を把握するためMDAの5カ月後にMSEを再度実施した。
MSEは,日本人臨床検査技師によってKato-Katz法1)にて検査を行い,MDAは,鉤虫症(hookworm disease, ancylostomiasis, necatoriasis)に対してメベンダゾール500mg2)を,タイ肝吸虫症(clonorchiasis)に対してプラジカンテル40mg/kg2)の単回投与を実施した(図3)。
今回の調査は,ラオス保健省倫理委員会の承認(No. 018/NECHR;2013年5月2日)を得て実施した。日本国内ではISAPH(International Support and Partnership for Health)内に倫理委員会が設置されていないため,ISAPH理事会の承認を得た。
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