株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

血管機能検査NOW [内科懇話会]

No.4741 (2015年03月07日発行) P.23

司会: 杉本恒明 (東京大学名誉教授)

演者: 山科 章 (東京医科大学循環器内科主任教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-14

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • next
  • 【司会】 杉本恒明(東京大学名誉教授)
    【演者】 山科 章(東京医科大学循環器内科主任教授)

    血管が硬くなると収縮期血圧は高くなり,拡張期血圧は下がって脈圧が大きくなる。

    CKDでは微量アルブミンの段階で,血管の硬化が進んでいる。

    無症状であっても50歳以上で糖尿病があるか喫煙者,65歳以上の全員に,ABIの測定を勧める。

    ◉ 血管機能を測定する

    日本循環器病予防学会(旧 日循協)が重要視しているものに疫学研究があります。NIPPON DATA 80もその1つでコレステロール,血圧,年齢,性別,糖尿病の有無から今後10年以内に心血管疾患で死亡する確率が予想できるようになりました。
    図1は有名なDzau先生の心血管疾患の連鎖です。高血圧,糖尿病,脂質異常症,喫煙,肥満などのリスクファクターがあれば心血管疾患発症のリスクは高くなりますが,いきなり心筋梗塞になるわけではなく,血管機能不全が起こり,次に血管性疾患,組織障害(臓器障害)を起こし,それが進行して末期臓器不全となり死亡します。
    リスクファクターからリスクは推定できますが適中率は50%あまりと言われており,血管機能不全を適切に評価できれば,より精度の高いリスク評価ができます。すなわち,血管機能がバイオマーカーになればよいわけです。バイオマーカーとなるためには,早期の段階を反映して臨床応用できることが必要です。また,再現性が良く,精度が高く,簡便かつ低侵襲で費用対効果が良く,市販されていて標準化されており,さらに予後予測ができることが必要です(表1)。何らかの介入をすればそのマーカーは改善し,それに伴って予後の改善につながれば理想的です。
    血管機能検査の代表として血流依存性血管拡張反応(flow mediated dilation:FMD),脈波増大係数(augmentation index:AI),中心血圧,脈波伝播速度(pulse wave velocity:PWV),上腕と下肢の血圧から求めるABI(ankle brachial index)などがあります。

    ◉ FMD

    最近は再現性が良く簡便な器械があり,上腕動脈にプローベを当ててエコーで血管径の変化を見ます。前腕で血圧+50mmHg程度の圧で駆血すると血液は流れません。5分間駆血した後に駆血を解除すると急激に血液が流れます。血流が増えたときの血管shear stressで,NOが出て血管が拡張します。それを超音波で血管の径を観察して,前値と比較してFMDを求めます。

    残り7,957文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
    2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top