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(3)免疫チェックポイント阻害薬による集学的治療─がん免疫治療をベースとした併用治療[特集:免疫チェックポイント阻害薬によって変わる抗癌剤治療]

No.4918 (2018年07月28日発行) P.41

谷口智憲 (慶應義塾大学医学部先端医科学研究所細胞情報研究部門講師)

河上 裕 (慶應義塾大学医学部先端医科学研究所細胞情報研究部門教授)

登録日: 2018-07-30

最終更新日: 2018-07-25

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腫瘍に対する免疫応答は,がん種間,患者間で異なり,治療前からがん組織内にT細胞浸潤が認められるinflamed(炎症)型腫瘍と,それが認められないnon-inflamed(非炎症)型腫瘍に大別できる

PD-1/PD-L1を標的とした治療が奏効しやすいのは,inflamed型腫瘍である。non-inflamed型腫瘍に対しては,inflamed型に転換できるような併用薬を用いることが理想的である

既存の抗癌剤,放射線療法,分子標的薬は,がん細胞にimmunogenic cell death(ICD)を誘導したり,免疫抑制分子の発現を抑制したりすることで,non-inflamed型腫瘍を,inflamed型に転換する作用を持っている

1. 複合免疫療法の必要性

抗細胞傷害性Tリンパ球抗原4(cytotoxic T-lymphocyte antigen 4:CTLA-4)抗体や,抗PD-1(programmed cell death 1)抗体に代表される免疫チェックポイント阻害薬は,悪性黒色腫や肺癌など複数の固形がんにおいて,明らかな臨床効果を示すに至った。しかし,単独使用では奏効率10~30%程度であり,奏効率の向上をめざした複合免疫療法の開発が重要と考えられる。抗腫瘍免疫応答が誘導されるには,様々なステップを経る必要がある(図1)。どこかのステップが障害されていると,免疫応答は誘導されにくい。各々のステップの障害に対応する治療法が開発されており,それらを患者ごとに最適化して使用することが理想的である。既存のがん治療法である化学療法,放射線療法も,これらのステップに作用し,抗腫瘍免疫応答に影響を与えることがあり,免疫チェックポイント阻害薬との併用が考えられる。

現在,抗CTLA-4抗体(イピリムマブなど)や,抗PD-1抗体(ニボルマブやペムブロリズマブなど)が関与している臨床試験だけでも800を超える(2017年12月現在)1)。実際の結果を予想するのは難しいが,抗腫瘍免疫応答を誘導するステップを考えながら,他のがん治療法を併用した複合免疫療法の可能性を本稿で概説する。

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