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高齢者白血病と移植医療

No.4924 (2018年09月08日発行) P.53

内田直之 (虎の門病院血液内科部長)

登録日: 2018-09-06

最終更新日: 2018-09-04

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【治せる治療が最良とは限らない】

白血病は高齢者ほど発症率が高く,人口の高齢化から高齢白血病患者は増加している。新薬の開発も盛んであるが,65歳以上で薬物療法のみで治癒できる症例は1割にも満たない1)。骨髄移植などの同種造血細胞移植は,薬物療法抵抗性の白血病も治癒できるものの毒性が強く,1990年代までは若年者に限定されていた。2000年以降高齢者にも実施されるようになり,80歳代の患者での成功例も報告され2),今や「高年齢」のみが移植非実施の理由ではなくなった。

しかしながら,同種移植は致死的な合併症と背中合わせであり,しかも移植直後のごく短期間(3~6カ月)に死亡する危険を伴う。高齢者では3~4割にも達するため,移植の決断はいつも簡単ではない。

高齢者白血病は,骨髄異形成症候群から進展したものなど経過が緩やかな場合が多く,少量の抗癌剤投与や輸血を行うことで,根治はできなくても外来で治療しながら通常の生活ができる場合も多い。また,短期間で手に入る臍帯血の移植成績が向上し,病状に合わせて移植時期が決定できるようになった。白血病の進行に伴い移植の成功率が低下する懸念があるが,ぎりぎりまで過ごす普通の生活もかけがえのないものである。ガイドラインやエビデンスを超えたところで,医療者・患者間で最良の方針が決定されるべきである。

【文献】

1) Juliusson G, et al:Blood. 2012;119(17):3890-9.

2) Masuoka K, et al:Bone Marrow Transplant. 2011; 46(4):619-20.

【解説】

内田直之 虎の門病院血液内科部長

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