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■NEWS 高血圧治療ガイドライン2019素案が明らかに―高血圧基準の変更なし

No.4927 (2018年09月29日発行) P.18

登録日: 2018-09-19

最終更新日: 2018-09-19

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日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン(JSH)2019作成委員会の梅村敏委員長は15日、旭川市で開かれた総会で講演し、来年4月に発行予定のJSH2019の素案を明らかにした。高血圧の基準は変更しないものの、降圧目標は引き下げる方向性を示した。

高血圧の基準を巡っては、昨年11月に公表された米国のガイドラインで25年ぶりに変更され、従来の140/90mmHgから130/80mmHgに引下げられた。一方、今年6月に公表された欧州のガイドラインでは、高血圧の基準値は変えず、降圧目標を忍容性があれば130/80mmHgとしていた。

■新理事長「降圧目標変更の精神は『非薬物療法を早めにする』」

JSH2019の素案によると、高血圧の基準と降圧薬の開始基準については従来の140/90mmHg以上とする一方、降圧目標は75歳未満の患者は原則、130/80mmHg未満に引下げる。130~139/80~89 mmHgの未治療患者には生活習慣改善を強化する。75歳以上の患者の降圧目標も引下げ、140/90mmHg未満とする。

同学会が16日に開いた会見で梅村氏は、降圧目標を引き下げる理由について「システマティックレビューで何千という論文から絞り込んでメタ解析をした結果」と述べ、JSH2019作成委員会でシステマティックレビューを徹底していることを説明。さらに、「日本の高血圧患者4300万人のうち、降圧目標に到達しているのは2016年時点で1200万人しかいない。これを何とかしないと、心筋梗塞と脳卒中が減らないし、医療費がますます増える。降圧目標到達率の低さは世界共通の課題だ」と危機感をあらわにし、降圧目標を引下げて心筋梗塞と脳卒中の減少を目指す方向性は世界的潮流であることを紹介した。

降圧目標の変更については、同日新理事長に就任した伊藤裕氏も会見で言及し、「この精神は『非薬物療法を早めにする』ということだ」と強調した。

JSH2019に関して同学会は今後、会内や関係学会等との調整を行った上で、来年1月にパブリックコメントを行う予定で、その後の変更もありうるとしている。ガイドラインの発行は4月の予定。

総会の特別企画「Hypertension Guideline Worldwide」(15日)で欧米の専門家とともに登壇した梅村氏

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