関東地方を中心とする風疹患者報告数の急増を受け、厚生労働省は27日、先天性風疹症候群(CRS)を予防する観点から、妊娠を希望する女性と同居家族に対し抗体検査の受診を強く呼び掛けることを決めた。自治体や医療団体などを通じて医療機関に通知する。抗体価が低いと分かった者が確実に予防接種を受けられるよう、報告数が特に多い東京、千葉、神奈川、埼玉、愛知の5都県を中心に、ワクチンの需給調整も行う。
厚労省が同日に開かれた厚生科学審議会感染症部会に方向性を示し、了承された。
国立感染症研究所の集計によると、今年の風疹の報告数は9月16日時点で642例(前週比127例増)に上り、既に昨年1年間(93例)の6.9倍に達している。報告患者のうち、30~50代の男性が約7割を占める。
1979年4月1日以前に生まれた男性と62年4月1日以前に生まれた女性は、風疹含有ワクチンの定期接種を受ける機会が1度もなかったため、抗体保有率が低い傾向がある。また、79年4月2日~87年10月2日生まれの世代は、男女とも中学生の時に医療機関で個別に1回接種を受ける形だったことから接種率が伸び悩み、抗体保有率も低くなっている。
風疹の抗体検査と予防接種の費用については、多くの自治体が妊娠希望者に対する助成制度を設けている。厚労省は風疹排除の早期達成に向け、抗体検査の助成対象を抗体保有率の低い世代の男性にも拡大したい考えで、2019年度予算の概算要求に関連費用4.1億円を盛り込んでいる。ワクチンの増産についてもメーカーと相談する方針。