株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

■NEWS 欧州糖尿病学会(EASD):CV高リスク2型DMに対するDPP-4阻害薬、CVイベント抑制でまたもプラセボに優越性示せず:CARMELINA試験

登録日: 2018-10-05

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

米国FDAの要請を受け現在、血糖低下薬は承認後に、糖尿病(DM)例を対象とした心血管系(CV)の安全性を確認するランダム化試験が必須となった。DPP-4阻害薬はこれまで、SAVOR-TIMI、EXSMINE、TECOSの3試験で、CVイベントのリスクをプラセボ以上に増加させないことが確認されているが、CVイベントに対する有意な「抑制」作用は認められてこなかった。

欧州糖尿病学会では、上記3試験とは若干対象の異なる2型DM例を対象にしたCARMELINA試験が報告された。しかしCVの安全性は確認されたものの、CVイベントはやはり抑制されなかった。4日、Darren D.McGuire氏(UT サウスウェスタン・メディカル・センター、米国)らが報告した。

CARMELINA試験の対象となったのは、2型DMと診断され、血糖低下薬使用にもかかわらずHbA1c「6.5~10.0%」、かつBMI「≦45kg/m2」でCV高リスクの6979例である。「CV高リスク」は、「顕性蛋白尿陽性の大血管症例」、「eGFR低値±アルブミン尿陽性例」と定義された。平均年齢は66歳、6割強が男性、BMI平均値は31kg/m2だった。またDM罹患期間は平均15年間、55%弱がメトホルミンを服用、60%弱がインスリンを使用していた。特筆すべきは「eGFR<60mL/分/1.72m2」例が62.3%含まれている点で、この値は既報のSAVOR-TIMI試験(15.6%)やEXSMINE試験(29.1%)、TECOS試験(9.3%)に比べ、著明に高い。同様に顕性蛋白尿例の割合も、前3試験に比べ高かった。

これら6979例は全例、各国ガイドラインに準拠したCVイベント予防治療の上、リナグリプチン5mg/日群(3494例)とプラセボ群(3485例)にランダム化され、二重盲検法で2.2年間(中央値)観察された。CVイベント抑制薬は、80%以上がレニン・アンジオテンシン系抑制薬、60%がβ遮断薬を服用していた(スタチン、抗血小板療法については報告なし)。

その結果、1次評価項目である「CV死亡・心筋梗塞・脳卒中」発生率は、DPP-4阻害薬群:5.77/100例・年、プラセボ群:5.63/100例・年となり、DPP-4阻害薬群の「非劣性」は証明されたが(P=0.0002)、プラセボに対する「優越性」は認められなかった(ハザード比[HR]:1.02、95%信頼区間[CI]:0.89-1.17)。これはランダム化された全例を対象としたIntention-to-treat(ITT)解析である。しかしDPP-4阻害薬群の23.9%、プラセボ群の27.4%では服薬を中止していた。そこでプロトコール遵守例のみを対象とした解析を見たが、ITT解析と同様の結果だった(HR:1.01、95%CI:0.87-1.18)。なお、プロトコール遵守例解析における「非劣性」の検定は、示されなかった。

またDPP-4阻害薬によるリスク増加が一部で懸念されている心不全も、DPP-4阻害薬群における心不全入院率は2.77/100例・年で、プラセボ群の3.04/100例・年と有意差を認めなかった(HR:0.90、95%CI:0.74-1.08)。総死亡リスクにも、有意差はなかった。また2次評価項目である腎イベントも、両群間に有意差なく、DPP-4阻害薬群におけるHRは1.04(95%CI:0.89-1.22)だった。安全性の懸念を惹起する所見もなかった。

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top