医療事故調査制度の第三者機関「医療事故調査・支援センター」に指定されている日本医療安全調査機構は9月25日、腹腔鏡下胆嚢摘出術に係る死亡事例の再発防止策を公表した。事故調により収集された事例に基づき再発防止策がまとまるのは5回目。
■胆嚢摘出術に関連した死亡率は約0.3%
事故調がスタートした2015年10月1日から今年5月までに報告された院内調査結果報告書697件のうち、腹腔鏡下胆嚢摘出術の死亡例は8例。また、一般社団法人 National Clinical Databaseのデータ分析によると、胆嚢摘出術に関連した死亡率は約0.3%であり、決して低率とは言えないことから、その重大性に鑑みて、喘息発作で死亡した1例を除く7事例を分析し、6つの提言(下掲)をまとめた。
機構によると、急性胆嚢炎に対する手術時期は、早期、特に発症後72時間以内の手術が推奨されている。一方で、発症後1週間以上経過した場合や炎症が沈静化して待機手術が可能となったような時間経過例は手術困難で、しばしば開腹移行となることが認識されてきている。
死亡7事例を分析した結果、いずれも胆嚢炎を合併しているが急性期を過ぎており、特に急性期を経過した高度胆嚢炎が過半数だった。また、手術の難易度を踏まえたインフォームドコンセントが不十分と思われるケースが多く、手術続行が困難な時に開腹術に移行するタイミングや術式選択の問題も重要だと指摘。
その上で6つの提言により、腹腔鏡下胆嚢摘出術は医療安全上、現場における手技、周術期の環境や対応などに課題が多々あることを明確にしたとしている。