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小児神経難病の遺伝子解析:点と線

No.4940 (2018年12月29日発行) P.52

酒井康成 (九州大学小児科准教授)

大賀正一 (九州大学小児科教授)

登録日: 2018-12-30

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【clinical sequencingのこれから】

難病の子どもを持つ両親にとって最も重要な関心は,わが子にどのような治療法を行えば病気が完治するか,ということである。有効な手立てがない場合,管理と治療の方針を両親とともに考え,その子のために最善を尽くすことが,医療者の使命である。

長い間,難治性てんかんの原因がわからず,重度の発達の遅れを抱えたまま,成人に移行した患者も同様で,一人ひとりの発達経過に主治医が寄り添い,注意深く傾聴することが重要である。たとえば,生後間もないある日,最初に起こった痙攣発作の様子を,両親の話の中からイメージするように問診を行う1)

今日,全遺伝子の変異情報と病原性スコアを迅速に提供するシーケンス解析,すなわちclinical sequencingが可能になった。重症児の遺伝的要因を明らかにすることは,疾患の克服のために私たち自身が何をなすべきかを考える,最初のステップでもある。もちろん,遺伝子がわかってもその患者の治療にすぐに結びつくとは限らない。しかし,完治をめざす過程の中で,一人ひとりの異なる遺伝的要因(点)を共通メカニズム(線)で結ぶ成果につなげることができる2)3)

この過程でもまた両親と家族の思いが,主治医を育て医療の可能性を広げる原動力になっている。

【文献】

1) Akamine S, et al:Epilepsia Open. 2017;3(1):81-5.

2) Takata A, et al:Cell Rep. 2018;22(3):734-47.

3) Matsushita Y, et al:Sci Rep. 2016;6:22991.

【解説】

酒井康成*1,大賀正一*2  九州大学小児科 *1准教授 *2教授

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