No.4782 (2015年12月19日発行) P.18
有賀悦子 (帝京大学医学部緩和医療学講座教授・診療科長)
登録日: 2016-09-08
最終更新日: 2017-01-31
有賀さんには忘れられない患者がいる。15年程前、緩和ケアは終末期に限定されていた頃の20代の卵巣がん患者だ。主治医に緩和ケアを受けたいと相談したが「まだそんな状況ではない。これから化学療法をするのだから」と断られたと言う。患者は「それは違うと思う」と有賀さんに訴えた。「私はこれからがんという相手と相撲を仕切っていきたいが、痛みがあると土俵が整わず踏ん張れない。だから痛みを取ってほしい。そのことで私の治療はより良く進んでいくはずです」
「彼女が話してくれたのは、正に“がん早期からの緩和ケア”の考え方でした」。有賀さんは2008年から帝京大で緩和ケアチームの再編に取り組む中、そのコンセプトを実践、治療や病期にかかわらず、いつでも患者の相談を受け、サポートできる体制を作り上げた。
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