千葉県野田市の小4女児が父親から虐待を受けて死亡した事件を巡り、日本医師会の平川俊夫常任理事は13日の会見で、医師の虐待対応能力を底上げし、地域全体で児童虐待の予防と早期発見につなげるべきとの見解を示した。今国会に提出予定の児童福祉法改正案で、全ての児相への医師または保健師の配置の明文化が検討されていることに関しては「児相の意思決定に日常的に医師が関与し、医学的知見に基づく対応ができるようにするなど、医師の役割の明確化も必要だ」と述べた。
会見で平川氏は、野田市の事件に関して、児相が虐待のリスクを認識していながら防ぐことができなかったことから「児相の対応に問題があった」と指摘。一方で、増加を続ける児相への虐待疑い事例の通告に対応するには、政府が表明している児童福祉司の増員だけでなく、地域の医療機関との連携強化を進めるべきと強調した。
医師の虐待対応能力の強化に向けては、日本子ども虐待医学会が医療機関向けに作成した研修プログラムを普及するなど、「今よりも高いレベルの研修体制を整えることが必要だ」と述べた。併せて、児相に勤務する医師の対応能力も強化すべきとの見解も示した。
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