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多発性骨髄腫の骨病変管理における第一選択薬は?

No.4949 (2019年03月02日発行) P.55

照井康仁 (がん研究会有明病院血液腫瘍科部長)

伊藤薫樹 (岩手医科大学附属病院臨床腫瘍科教授)

登録日: 2019-02-28

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  • 多発性骨髄腫では,しばしば骨病変の管理を必要としますが,無症状であったり,抗骨髄腫治療により無症状になったりすると,すぐに骨病変に対する治療を開始すべきか判断に迷うことがあります。多発性骨髄腫の骨病変の管理では,ビスホスホネート製剤とRANKL阻害薬のどちらをどのタイミングで開始するのか,岩手医科大学・伊藤薫樹先生にご教示をお願いします。

    【質問者】

    照井康仁 がん研究会有明病院血液腫瘍科部長


    【回答】

    【骨病変を認めたらゾレドロン酸を開始,腎障害がある場合はデノスマブを使う】

    骨髄腫では骨病変が多くの患者に合併し,骨痛や骨折といった骨関連事象(skeletal related event:SRE)のために,患者の生活の質が極度に低下します。さらに進行すれば,高カルシウム血症や脊椎圧迫骨折による脊髄麻痺などが生じ,生命予後も悪化します。一般に,骨病変の存在が認められた場合にはビスホスホネート製剤などの骨修飾薬の治療適応となり,抗骨髄腫治療と併せて治療が行われます。

    欧州骨髄腫ネットワークのガイドラインでは,クリアチニンクリアランス(creatinine clearance:Ccr)>30mL/分で骨病変を有する患者にはゾレドロン酸あるいはパミドロン酸の投与が推奨されています1)。ゾレドロン酸は成熟破骨細胞の機能障害やアポトーシス誘導により骨吸収を抑制します。通常,3~4週間に1回,2年間投与することが推奨されています。腎障害がある場合には,Ccrに準じた減量投与が行われますが,Ccr<30mL/分の重度腎機能障害患者におけるエビデンスはないため推奨されません。

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