文部科学省の「学校における医療的ケアの実施に関する検討会議」(座長=下山直人筑波大人間系教授)は2月28日、医療的ケアや在宅医療に知見のある医師を学校医とすることを求める最終まとめを公表した。
喀痰吸引や経管栄養などの「医療的ケア」が日常的に必要な児童生徒が増加する中、社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正により、2012年4月から一定の研修を受けた教員がたんの吸引等の医療的ケアを実施できるようになった。制度の開始から5年が経過したことから、17年10月に同検討会議が設置。医療的ケアの考え方や留意点について整理した。
最終まとめでは、医療的ケア児に関する総括的な管理体制を構築するため教育委員会に対し、医療的ケア、在宅医療に知見のある学校医や、医療的ケアの助言・指導が可能な医師(医療的ケア指導医)を委嘱するよう求めている。その上で、教育、福祉、医療の関係機関などで構成する協議会の設置が必要だと指摘。地域の医師会の協力を得て、在宅医療や医療的ケアに精通し、学校の環境にも理解のある医師から指導・助言を受けられるよう求めた。
また、医療的ケアを実施する現場には、基本的に医師が存在しないため、主治医は医療的ケア児1人1人の健康状態や医療的ケアの範囲、学校の状況を踏まえて明確な内容の指示書を学校・教育委員会に作成する必要があるとしている。医師が近くにいない中で看護師等が安心して医療的ケアを実施できるよう、学校医や医療的ケア指導医、主治医、医療的ケア児が利用している病院などと意見交換・相談が可能な体制を構築することが重要だとした。