株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

■NEWS 清原和博氏が依存症啓発イベントに登壇―「勇気を出して専門の病院に行ってほしい」

No.4951 (2019年03月16日発行) P.20

登録日: 2019-03-08

最終更新日: 2019-03-08

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

厚生労働省が6日に都内で開いた依存症に関する啓発イベントに、薬物依存症の治療を受けている元プロ野球選手の清原和博氏が登壇し、依存症の人に「勇気を出して、専門の病院に行ってほしい」と呼びかけた。

イベントでは冒頭、依存症治療の専門家である松本俊彦氏(国立精神・神経医療研究センター)が依存症について解説。「(一般の人は)依存症の人に対して『楽しくて快楽に溺れ、その状態から抜け出せない』と思っているかもしれない。でも、ほとんどの依存症の人たちは苦しい思いをしている。何度も止めようと思っていても、どうにもならなくて自分を責めている」と説明。さらに、多くの依存症の人が医療機関への受診を「恥ずかしい」と感じたりするなどして、ためらっていることを話した上で、「依存症の回復のために一番大切なことは、自分の置かれた状況を信頼できる人に正直に話すこと。『やってしまった』『苦しい、やりたい』ということを正直に言うところから回復が始まる」と述べ、依存症の人に対する偏見をなくし、適切な治療や支援を行う必要性を訴えた。

清原氏「薬物を使うために嘘をつき、苦しみの日々だった」

その後、登壇した清原氏に松本氏が質問する形でトークセッションが行われた。

厚労省から同イベントのオファーが届いたことへの思いを問われた清原氏は、自身が覚醒剤取締法違反罪で有罪判決を受けたことを踏まえ、「自分が逮捕されて3年になるが、コツコツと治療を続けてきて、それを厚生労働省に認めていただいのかなと思うと、すごく嬉しい」と述べ、「自分のように苦しんでいる人のためになれば」と、出席を即断したと明かした。

治療のきっかけについては「逮捕されたこと」と話し、「自分が立ち直っていく上でどうしたらいいかを考えた中で、薬物の専門病院に通うことだと自分で決めた」と説明。「病院に通って勉強することによって、『自分はこうだったんだ、ああだったんだ』と理解できて、すごく良かった」と評価した。

他の依存症の人へのメッセージを求められると、「薬物は一時的に止められても止め続けることは自分自身では非常に難しい。勇気を出して専門の病院に行ってほしい」と呼びかけた。また、依存症の人の家族・友人へのメッセージとしては、「身近な人に正直にものを言えることで一番自分は変わった。薬物を使っている時は、薬物を使うために嘘をつき、自分をどんどん追い詰めてしまい、ほとんど苦しみの日々だった」と振り返り、「『今自分は苦しいんだ、辛いんだ』と言える環境があることは一番大きいことだと思う」と、周囲の理解が依存症の回復につながることを強調した。

6日に開かれた「誤解だらけの“依存症”in東京」に登壇する清原氏(右)と松本氏

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top