医療事故調査制度の第三者機関「医療事故調査・支援センター」に指定されている日本医療安全調査機構は先月、一般・療養病棟における非侵襲的陽圧換気(NPPV)および気管切開下陽圧換気(TPPV)に係る死亡事例の再発防止策を公表した。事故調により収集された事例に基づき再発防止策がまとまるのは7回目。
■人工呼吸器に関連した死亡事例は8例
事故調がスタートした2015年10月1日から2018年9月末までに報告された院内調査結果報告書817件のうち、人工呼吸器に関連した死亡事例は8例。機構では8例を分析し、5つの提言(下掲)をまとめた。
8例の内訳は、NPPV使用中が5例と、TPPV使用中が3例で、いずれも一般病棟や療養病棟で発生していた。その内容は、人工呼吸器回路の接続外れ、吸気回路の呼気側への誤接続、人工呼吸器の電源操作に関わる事故などだった。
機構では、自発呼吸がある患者に使用するNPPVは、人工呼吸管理においては致命的な状況に陥るリスクに対する認識が甘くなる傾向があるとした上で「慢性呼吸不全患者では自発呼吸があっても、NPPVが外れれば生命が維持できない危険性があることを十分認識する必要がある」と指摘している。
■人工呼吸器の改良で事故予防の可能性
提言ではこのほか、人工呼吸器に関し、「回路外れや誤接続防止への改良、操作盤表示や操作手順の改良などで事故を予防できる可能性もあるようにも思われた」と指摘し、人工呼吸器の関連企業に対して、使用性に対する人間工学上の対応に期待を示した。
さらに、関連学会に対しても、医療機器の事故や作動不良の事例、ヒヤリ・ハットの事例を収集・検討して会員へ啓発することや、企業側に対する事故再発防止のための情報発信を求めた。