政府は19日、児童相談所への医師の配置を義務化するとした児童福祉法、児童虐待防止法などの改正案を閣議決定した。今国会での成立を目指す。
児童相談所への虐待相談対応件数は増加の一途をたどっており、2017年度には13万件を超えている。昨年3月には目黒区で女児が虐待死した事件が発生。こうした状況を受け、政府の「児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議」は昨年7月に「緊急総合対策」をとりまとめるなど、児童虐待防止対策を進めてきた。
しかし、今年1月に千葉県野田市で虐待死事件が発生。対策強化に向け、制度改正の必要性などが指摘されていた。
改正法案では、「児童相談所に、医師および保健師のいずれもの配置を義務化する」と明記。これにあわせて、同日の関係閣僚会議でとりまとめた「児童虐待防止対策の抜本的強化について」では小児科医、精神科医、法医学者など事案に即した専門性を持つ医療関係者と児相との連携体制の強化を図ることを盛り込んだ。採用活動や研修、体制整備に必要な財源支援も拡充する。
さらに、一時保護や施設入所などの実施・解除の際、法的・医学的知見を踏まえた対応ができるよう、日常的に弁護士や医師等が意思決定に関与することを求めた。
学校での対応強化に向け、学校医等が留意すべき事項を記載したマニュアルも今後作成するという。
同会議で安倍晋三首相は、「あらゆる手段を通じて虐待を受けた子どもたちを守っていく。そういう強い決意を持って臨んでください」と、政府総力を挙げて虐待防止に取り組むよう指示した。