中央社会保険医療協議会総会は10日、2020年度診療報酬改定に向け、年代別に医療を取り巻く課題を整理する議論を開始した。同日の会合では、乳幼児期~思春期・学童期と周産期の医療について意見交換が行われた。
乳幼児期~思春期・学童期(小児)の主要な課題の1つとして、アトピー性皮膚炎や喘息等のアレルギー関連疾患の管理に対する評価がある。「小児かかりつけ診療料」の算定対象となる患者は未就学児であり、小学生以降のアレルギー疾患等の管理を特別に評価する点数はない。小児の精神疾患への対応も焦点となりそうだ。近年、傷病分類上の「その他の精神および行動の障害」(主に発達障害)の患者が急増傾向にあり、精神科医と小児科医、学校の連携の評価などが課題となる。
周産期については、初産年齢の高齢化などを背景に、基礎疾患を持つ妊婦が増加しており、こうした妊産婦に対応する外来医療の評価が論点として示された。また、今年1月に算定凍結に至った「妊婦加算」の見直しに関しては、厚労省の有識者会議が妊産婦への医療提供体制のあり方全般にわたって検討を進めており、中医協では有識者会議が夏頃に出す結論を踏まえ、“妊産婦本人が納得できる”報酬上の評価を審議する予定だ。
意見交換の中で、診療側の松本吉郎委員(日本医師会)は小児医療の課題として「早期介入」を挙げ、学校・保育園とかかりつけ医の連携強化などを進めるべきと強調。周産期ではハイリスク分娩対応の評価をさらに進めるとともに、妊産婦のメンタルヘルス支援を強化し、児童虐待防止にもつなげていくべきとの考えを示した。
幸野庄司委員(健康保険組合連合会)ら支払側の複数委員からは、小児・周産期医療を全て診療報酬で評価する必要はなく、国の補助金や自治体事業などを組み合わせて支援の充実を図るべきとの意見が出た。