乳房外パジェット病は,主に外陰部皮膚に生じる皮膚癌で,臨床的には自覚症状を伴わない紅斑である。紅斑のほか,脱色素斑を呈することがあり,また進行すると,びらん・潰瘍や結節を生じる。かゆみなど自覚症状を伴うこともあり,しばしば湿疹や真菌による感染症と誤診される。皮膚病変の境界がわかりにくいことがあり,腟部や尿道,肛門近傍に広がると病変の境界がさらに判別しにくい。好発年齢は高齢者であるが,30歳代以降の若年者にも発生しうる。また,外陰部同様にアポクリン腺の多い腋窩などに生じることもある。手術療法による治療が選択され,奏効することが多いが,進行し,転移した際に効果的な標準治療は確立していない。
外陰部の紅斑,脱色素斑で,外用薬治療により自覚症状が改善しても,臨床像が変わらない,または経時的に拡大する。腋窩に生じることもある。確定診断のためには皮膚生検が必須である。
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