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右脚ブロック[私の治療]

No.4962 (2019年06月01日発行) P.39

石川利之 (横浜市立大学附属病院循環器内科教授)

登録日: 2019-05-31

最終更新日: 2019-07-09

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  • 右脚ブロックとは,刺激伝導系の右脚本幹またはその分岐に障害があって心室内伝導障害が起こり,右室の興奮に遅延が生じるものである。心室内刺激伝導路はHis束以下の心室膜様部直下で,まず左脚が分枝し,そのまま右脚に移行し,心室中隔右室側心内膜下を右室前乳頭筋基部まで走行する。右脚は左脚と異なり細く長いため,特に基礎心疾患がなくても伝導障害が生じやすく,加齢とともに増加するが,予後は良好であることが多い1)2)

    ▶診断のポイント

    標準12誘導心電図の特徴的所見で診断をする。①V1(V2)のQRSが分裂しrsR’型かRSR’型を呈する,②Ⅰ,aVL,V5,V6に幅広いS,③V1~V3のST低下,T波逆転,の3点を満たし,QRS幅が0.12秒以上の場合「完全右脚ブロック」,0.10秒以上0.12秒未満の場合「不完全右脚ブロック」と言う。なお,aVRに認められるlate rは右室伝導遅延の所見である。

    【変行伝導】

    早いタイミングで興奮が心室に伝わると,一方の脚のみを伝導して他方の脚の伝導が機能的にブロックされ,脚ブロック・パターンを呈することがあり,変行伝導と呼ばれる。上室性期外収縮,心房細動などで認められ,心室性期外収縮や心室頻拍と紛らわしくなる。右脚の不応期は左脚より長いことが多く,右脚ブロック・パターンを呈することが多い。先行周期が長い(心拍数が遅い)ほうが不応期が長くなる(伝導しにくくなる)ことが多いのでlong-short sequenceで発生しやすく,これをAshman現象と言う。

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