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進行性家族性肝内胆汁うっ滞症[私の治療]

No.4965 (2019年06月22日発行) P.50

別所一彦 (大阪大学大学院医学系研究科小児科学講師)

登録日: 2019-06-23

最終更新日: 2019-07-09

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  • 進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(progressive familial intrahepatic cholestasis:PFIC)は胆汁酸やその他の胆汁成分の毛細胆管への排出障害に起因する疾患群で,古典的にはFIC1蛋白質をコードするATP8B1遺伝子の変異で生じる1型(PFIC1),BSEP蛋白質をコードするABCB11遺伝子の変異で生じる2型(PFIC2),MDR3蛋白質をコードするABCB4遺伝子の変異で生じる3型(PFIC3)に分類される。いずれも常染色体劣性遺伝性形式を取る。多くの患者では新生児~乳児期に遷延性黄疸で発症し,成長障害と進行性の肝疾患を呈するとともに,難治性の皮膚瘙痒感が問題となる1)

    ▶診断のポイント

    PFIC1,PFIC2では血清直接ビリルビン,総胆汁酸高値にかかわらずγ-GTP値が正常もしくは上昇が軽度であることが特徴とされる。PFIC3ではγ-GTPは高値を示すが,わが国ではきわめて稀である。

    PFIC1では胆汁うっ滞のほかに下痢,膵機能不全,難聴などの肝外合併症を伴うことがあり,PFIC2ではPFIC1に比べ肝障害の進行が早く,時に肝細胞癌を発症することがあるが,乳児期には臨床的鑑別は困難なことが多い。

    遺伝子診断により,約半数の例で責任遺伝子のホモ接合体もしくは複合ヘテロ接合体変異が同定される。また,肝組織において,PFIC1では電顕像で毛細胆管にByler’s bileと呼ばれる粗大顆粒状胆汁を認めることが特徴とされ,PFIC2では免疫染色で毛細胆管形質膜にBSEP蛋白質が染色されないことが診断の一助となる。一方で,最近のエクソーム解析の普及により,PFIC様の症状を呈する疾患概念は増加しつつある。TJP2遺伝子,NR1H4遺伝子変異により引き起こされる病態は,それぞれPFIC4,PFIC5と名づけられ,いずれもγ-GTPの上昇を認めない胆汁うっ滞を呈する。

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