根本匠厚生労働相は9日の閣議で、2018年版の厚生労働白書を報告した。「障害や病気などと向き合い、全ての人が活躍できる社会に」をテーマに据え、昨年2月に実施された「自立支援に関する国民の意識調査」の結果分析を紹介。治療と仕事の両立について、障害者・有病者の7割近くが「困難」と感じている現状が示された。
意識調査では、20~64歳の回答者を①障害や病気を有する者(当事者)、②身近に障害や病気を有する者がいる者(身近にいる者)、③その他―に分け、各類型で1000人分の回答を収集した。
「現在働いている」者の割合は、当事者66.4%、身近にいる者82.2%、その他74.7%で、当事者の就業が他の類型より難しいことが示された。就業形態別に当事者の就業・就業継続の意向をみると、「現在働いている」者では92.2%、「休職中」では89.7%、「現在働いていない」では64.2%だった。身近にいる者、その他で「現在働いていない」者の就業・就業継続意向は5割未満であり、当事者の「仕事をしたい」思いが強いことが分かる。
一方、治療または障害と仕事の両立を「困難」とした回答は、当事者で66.3%、身近にいる者で72.5%、その他で75.8%に上った。当事者が今後仕事を続けられないとした理由では「体力的に厳しい」が最も多く、次いで「職場環境や業務体制が整備されていない」が多かった。
白書では、「障害を抱えたら働けない」との先入観や両立支援策の周知不足があると分析。障害者への支援が助け合いの意識の醸成にもつながるとして、企業や地域による両立支援・就労支援を促進する方針を示している。