川崎病の年間患者数は1990年代から漸増し,2015年には1万6323人でピークに達した
川崎病の全国調査は1970年から2年ごとに続けられており,諸外国では研究拠点での医療統計や調査表による疫学研究が盛んに行われている
川崎病の発症に関与する因子として世界共通の疫学像から示唆されるのは,遺伝因子,感染免疫因子,環境因子の3つである
3つの因子の組み合わせにより川崎病への罹りやすさが準備されると考えられる。しかし発症の直接的なトリガーが何か,それは単一かあるいは複数存在するのか,依然として不明である
川崎病の急性期には多くの炎症性サイトカインおよびケモカインの産生亢進が認められる。これらは急性期の治療への反応性や冠動脈病変の発症に関与している
川崎病は,1967年に川崎富作博士が「アレルギー」誌に発表した論文,「指趾の特異的落屑を伴う小児の急性熱性皮膚粘膜淋巴腺症候群」に始まる,歴史的に新しい疾患である。原著論文では「(病因として)感染症かあるいは非特異的な感染アレルギーか」と記されているが,その後の世界中の研究者たちの努力にもかかわらず,いまだ原因は明らかにされていない。本稿では,川崎病のグローバルな疫学像や急性期病態から考えられる発症のメカニズムについての研究の現状を紹介する。